ここ近年、スポーツ選手の常軌を逸した行動が発覚し、ニュースとして取り沙汰されている。その度に当該スポーツ界に激震が走る。巨人軍の4選手の野球賭博問題や清原和博選手の覚醒剤使用逮捕事件、そしてここに来て、またしてもバドミントン界のニュープリンスに沸き起こった裏カジノ賭博問題。あと数か月で開催される五輪代表に当確で、メダルも狙えたトップ選手に起きた不祥事。何人の日本人が衝撃と落胆した面持ちでこのニュースを受け止めたことだろう。
「スポーツバカ」という言葉があるが、勉強は二の次三の次で、好きなスポーツばかりに没頭した結果、社会常識や規範意識が育たず、法令に触れる行為で、選手生命をはく奪されたり、出場停止処分の憂き目に遭うケースが後を絶たない。
私生活はどうでも強ければ何でもいいという発想では、いずれボロが出て、取り返しがつかない不祥事を起こすものだ。「自分がNo.1で、一番偉いから何をやっても許される」と錯覚し、傲慢さや横柄な態度が顔を出す。最近のスポーツ界を取り巻く不祥事の連続はそうした背景を如実に物語っている。
今日は、こうした一流アスリートがとった軽率な行動や不祥事を集めてみた。スポーツマンシップの意義を再認識するとともに、再発防止と規範意識の啓発のためである。
1 だらしない服装で五輪会場へ向かう空港に登場し批判を浴びたスノボ選手
2010年2月9日、國母和宏は、スノーボード・ハーフパイプ日本代表としてバンクーバーに向かう際、日本選手団公式ユニフォームを崩し、腰パン、緩めたネクタイ、またブレザーの前を開け放しシャツの裾も出し、さらにはドレッドヘアに鼻ピアス、サングラスという独特の(要は“だらしない”)スタイルで成田空港に現れ、「結果よりも内容。(滑りを見て)格好いいと思ってもらえればいい。最近のスノーボードはすげぇダセえから」と持論を展開し、そのままバンクーバーに向けて出国した。日本代表の“服装の乱れ”であり、出国の様子を見た人々から日本オリンピック委員会(JOC)と全日本スキー連盟(SAJ)に対し抗議が殺到。日本選手団公式服装着用規定違反でもあり、JOCは日本代表選手団団長の橋本聖子を通じスノーボード監督の萩原文和に厳重注意し、國母は選手村入村式を欠席させられた。
しかもその後も腰パンや半パンなど服装の乱れは収まらず、報道陣にも「反省してま~す」「チッ、うっせーな」と反省などうわべだけ。
こういう世間の常識を知らない恥知らずのスポーツ選手は、いくら強くても国際大会に出すべきではないし、出場する資格はない。
2 カメラを盗んだ嫌疑をかけられ、選手生命をはく奪された水泳選手
それは韓国で開かれたアジア大会の練習会場で起きた。2014年、仁川アジア大会が開催された折、韓国記者のカメラを盗んだ疑いで罰金を支払った日本人水泳選手がいた。それは冨田尚弥選手だった。
本人はいったん罪を認め、略式起訴され、罰金を支払ったが、選手生命の危機と知るや否や、帰国後に事実を真っ向否定。争う姿勢を示した。この時の証拠として提出された防犯カメラの映像は、解像度が低く、その現場として犯行を立証するだけの確認が出来ず、冨田選手曰く、トラップでハメられたと主張した。
しかし、裁判で有罪が確定し、100万ウォンで罰金刑が確定した。これにより、所属先のデサントは、冨田選手を解雇した。また、日本水泳連盟は10月9日、2016年3月末までの選手登録停止処分とし、異議申し立て期間内に異議が提出されなかったことにより、10月30日に処分が確定した。もし犯行に及んでしらばくれたとしたら、罪を認めず自分の権利だけを主張する欧米並みの性質で、往生際が悪く、司法取引すら必要になるような若いアスリートの度を過ぎる自己防衛の詭弁だ。
3 ロシアのテニスの妖精がドーピング告白
テニス界で絶大な人気を誇るロシアの妖精・マリア・シャラポワ(ロシア)が1月の全豪オープンでの ドーピング検査の検体から、禁止薬物『メルドニウム』が検出されたことを発表した。そしてシャラポワ自身が記者会見を開き、自ら禁止薬物を摂取して大会に出要した事実を告白した。そのメルドニウムは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が今年から禁止薬物に新たに指定したもの。
3月7日に開いた記者会見で、自ら事実を公表し、すべて自身に責任があり国際テニス連盟(ITF)から長期に渡る出場停止処分が下される可能性がある、と語った。もしそうなると、今シーズンの活動はもちろん、リオ・オリンピックへロシア代表としての出場の可能性も絶たれることになる。
ロシアはテニスに限らず、様々な競技において、その名声欲しさに国家ぐるみでのドーピング実施の疑惑がある。こうなると公平さやスポーツマンシップなどは無に等しく、地に堕ちた国家体制ということになる。
4 元アメリカ代表サッカー選手が飲酒運転で逮捕
2016年4月、女子サッカーの米国代表として長年活躍し、昨年引退したアビー・ワンバック元選手が、 西部オレゴン州で飲酒運転の疑いで逮捕された。地元警察が3日、明らかにした。ワンバックは日本にとって最大の壁だった選手。無類のエースストライカーで、点取り屋だった彼女。長身にしてが体の良い頑丈な体格で、強烈なヘディングやボレーシュートを次々決めた強力選手だった。
5 プレミア21での台湾でのナイトパブで馬鹿騒ぎした巨人の主将選手
「日本隊主将放浪台北夜店」の見出しで報じたのは、2015年11月12日の1次ラウンドB組で日本がドミニカ共和国を4-2で下した試合後の様子。 動画は坂本、前田、秋山、大野(中日)、沢村(巨人)ら、1988年生まれの同期会『88年会』のメンバー5人が、台北市内のホテルからタクシーに乗り込むところから始まっている。
さらに5人が同市内の飲食店で女性の接待を受けながらグラスを傾け、肌を露出した女性たちがダンスを披露している姿も映っている。 店を出た後も路上で盛り上がる姿も盗撮されていた。
グラウンドを離れても、常に衆人環視であるプロ野球選手であることを意識して貰いたい。軽率な行為や羽目を外した行動は厳に慎んで貰わないと、チームメイトはもとより、プロ野球界に泥を塗ることになる。好色色を好むというが、巨人軍を背負って立つ主将なら主将らしく振る舞い、真摯に野球に取り組んだらどうだ。派手なだけではほかの選手はついて来ない。
6 裏カジノ出入りでリオ五輪出場を辞退させられたバドミントン選手
バドミントン界のエースで、リオデジャネイロ五輪への出場が確実視されている桃田賢斗選手(21)と、2012年のロンドン五輪バドミントン男子代表の田児賢一選手(26)が違法な裏カジノに出入りし、金を賭けていたことがわかった。日本バドミントン協会は、桃田選手をリオ五輪に出場させない方針を明らかにした。(朝日新聞デジタルの見出しより引用)
日本男子バドミントン界の第一人者で、若手NO.1はもちろん、オリンピックイヤーの今季、世界ランキング2位で日本のエースの失態は、バドミントン界に大きな衝撃を与えた。本人たちは、違法であるとの自覚もないし、事の重大さに気づいていない。
彼のモットーは「派手な生活をして、子供たちがこんな風になりたいと憧れてもらえたらいい」と話していたが、そもそもその発想がおかしいし、勘違いしている。つつましくても堅実な生き方を励行し、精一杯努力して結果を残す。これが真のアスリートの姿だ。金目当てにスポーツするのは、あまりにもギラギラしているし、子供たちにバドミントンの楽しさを与えられる模範にはなり得ないし、その資格もない。
ちょっと結果を出したからと思い上がって有頂天になり、謙虚な態度や姿勢を見失うと、このような失態を平気でしでかしてしまう。
蛇足だが、巨人の坂本に顔立ちが似ているのも気にかかる。この手の顔はプレイボーイの典型で、モテることが災いを招き、周囲を不幸にするタイプと言える。桃田はA型。田児はO型。
桃田選手は我が福島県の富岡高校を卒業し、福島県の復興を後押ししてくれる存在として活躍してくれていただけに、県民のショックの大きさは計り知れない。
ほかにも、スポーツアスリートでは、朝青龍や白鵬などのモンゴル出身の力士による品格を疑うような行動が問題になることが多い。その都度信用を損ね、客は激減するなどの悪影響を及ぼしている。
さて、最近のスポーツ選手の失態や常軌を逸した軽率行動を取り上げたが、自分が好奇心だけで行った勝手な振る舞いが、スポーツマンとしての基本精神に反するだけでなく、どれだけ周囲の期待を裏切り、お世話になった方々に多大な迷惑や悪影響を及ぼすかを真剣に考えて貰いたいものだ。若気の至りの代償にしてはあまりにも大きい。
選手は応援してくれているファンの存在や競技に専念できる環境を整えてくれる所属会社のサポート、用具や金銭面で支援してくれるスポンサーや地元の後援会、技術力・競技力を向上させてくれるコーチや監督の存在を忘れている。そういう方々の支援を考えず、感謝の気もなく、自分だけで強くなったような思い上がりや傲慢さがこうした問題行動を引き起こしている。 プライベートは何をやっても許されると思ったら大間違いで、法を犯し、犯罪行為に手を染めれば、選手生命を奪われるということを認識し、自重した行動を心がけて貰いたいものだ。
記事作成:4月7日(木)