まもなくであの大震災から丸5年が経過しようとしている。特に被害の大きかった岩手、宮城、福島の三県は、震源地に近く、また未曾有の巨大津波に襲われ、いまだに行方不明となっている方々が数多くいる。この三県の中で、最も復興や再興が遅れているのは、福島県だ。これは人災である「福島第一原子力発電所」の放射線拡散事故によるものだ。これによって、浜通り各地の被災者が、いまだに帰宅困難であり、県内外各地に散らばり、仮住まい生活を送っている。ここ郡山市にも、あちこちに被災者住宅が建設され、そこで不自由な生活を強いられている被災者が多数いることでもわかる。
これまで全国からの激励や募金をいただき、何とか慣れない土地での生活を送って来た人々、いつ愛する故郷に戻れるかわからない状況で、不安な毎日を送り、遠く離れた場所で生きていく覚悟を決めた方々までいる。確かに、郡山市内は、様々な店舗や病院が立ち並び、買い物や交通の面など、便利で生活に事欠かない。しかし、故郷を想い、愛する気持ちは消えることはない。また、厳しい検査体制を敷き、その基準値をクリアしているにもかかわらず、福島県の食材を敬遠する心もとない方々がいるのも事実だ。風評被害もおさまらない。
そこで今回は、真の「福島再興」を成し遂げるのは、何が必要かを私なりに探り、行政目線ではまず気づかない点を提唱したいと思う。まず、実現不可能だが、ひとつのアイディア提示として参考にしてほしい。
<福島再興策>
1 毎年開催の「音楽イベント」の実施
我が親友だった「箭内道彦」氏が、「風とロックLIVE福島」と称して、福島県民を激励すべく、さまざまなイベントを開催してきた。毎回観客動員は多く、盛り上げててくれているが、もっと大物アーティストたちが集う、「約束の地」としての野外のビッグイベントが欲しい。
かつて郡山で行われた「ワンステップフェスティバル」では、オノ・ヨーコ、矢沢永吉、沢田研二などのビッグアーティスト達が出演し、今でも伝説として語り継がれているイベントだ。これをヒントに、かつて「嬬恋」や「中津川フォークジャンボリー」にも負けず劣らずの、音楽イベントを毎年開催してほしい。全国から多くのロックファンやポップファンが多数押し寄せ、地元の旅館やホテル組合が潤い、同時に観光物産展をジョイントすれば、福島県産品のPRにもなる。また福島の大自然に触れ、その良さを肌で感じ取ってくれれば有り難い。4年前に郡山スケート場で行ったイベントをさらにパワーアップさせてほしい。場所はカルチャーパークの駐車場を開放すれば、より多くの観客を見込める。交通渋滞を引き起こしかねないが、南ICもあるし、大駐車場を確保できる。
もとより福島県は「合唱王国」であり、郡山市は「音楽都市宣言」をするほどの音楽が盛んな都市だ。メジャーなバンドや知名度抜群で、ヒットチャートを賑わすようなシンガーが集い、ビッグイベントを行えば、若者を中心に活気づくと思う。
2 福島をPRするためのイベントを
2015年は、福島県を挙げて官民一体となった福島PRイベント「福島ディスティネーション・キャンペーン(DC)」を実施し、県内外から多くの観光客が押し寄せて、経済効果があった。そこで「福島は元気です」と情報発信すると共に、福島県産は安全ですということもアピールできた。これを1回限りのイベントで終わらせてはならない。リピーターを掴み、口コミが口コミを呼び、さらなる誘客運動を継続開催したい。
こうしたイベントは郡山で行われた「東京ガールズコレクション」や2年前の秋に開催した「B級グルメグランプリ(B-1)」グランプリで実証済み。全国からファッションリーダーたちや腕に覚えのある料理人や地元グルメをPRし、鎬を削っり、大いに盛り上がった。
また、今では過去の遺産という印象が否めないが、今から30年前、萎びた温泉街を活性化しようと、二本松の岳温泉が独立国を表明。「ニコニコ共和国」を開国。そこでしか使えない通貨を発行し、ウェスタンカーニバルやヘリコプターによる遊覧飛行など、あの手この手で知名度アップを図り、そして全国からこのニュースを見た観光客がやって来た。まるで「幸福駅ブーム」があった時のように盛り上がった。
実際、私も小学生の頃、このイベントに参加し、生まれて初めてヘリコプターにも乗った。外国人俳優がオープンセットで西部劇のショーを繰り広げたのを覚えている。
詳しくは「クロッキチ」さんのブログをどうぞ!
http://blogs.yahoo.co.jp/takkati1999/9216025.html
こうしたテーマパークは夏休みの想い出になる。「福島未来博」のように大企業が参加し、パビリオンを建設すれば、大勢の人が訪れるだろう。二本松地区で考えれば、既存の「サファリパーク」や「エビスサーキット」を上手くコラボさせ、提灯祭りのイベントを夏にも実施し、天空の城「霞ヶ城」や秋の菊人形とリンクさせれば、3か月のロングランでイベントが繰り広げられる。また、歴史を全面に押し出し、戦国期には、あの伊達政宗とどう戦ったか、幕末では二本松少年隊がどう戦い、その若き命を戦場に散らしていったか、その歴史も学んでほしい。
3 映画やテレビドラマのロケ地招致とガイドマップ製作を
震災復興策として岩手県三陸地方で「あまちゃん」が撮影地として使われたことで、全国的な知名度がアップし、鉄道オタクも含め、各地からわんさか観光客が押し寄せた。福島県でも綾瀬はるか主演の「八重の桜」が制作・放送され、ブームになった。会津若松のゆかりの地は、多数の観光客で賑わいを取り戻した。これをさらにパワーアップさせたい。そのためには、NHK朝のテレビ小説の舞台になることと、福島県の偉人を取り上げた映画やドラマを制作することだ。例えば、千円札の肖像画になっている野口英世、高村光太郎の妻・智恵子の生涯を描いたドラマなどもブームの起爆剤になり得る。
現在、そうしたロケ地になりそうな場所は・・・
1 いわき市常磐炭鉱跡・スパリゾートハワイアンズ 「フラガール」
2 柳津町 「ジヌよさらば」
3 いわき市 「超高速大名行列」
4 南会津 「春色のスープ」
5 国見町・三春町 「アブラクサスの祭り」
6 田村市船引地区 「はつ恋」(小沢の桜)」
7 会津若松市周辺 「白虎隊」「八重の桜」
8 本宮市 「ハーメルン」
9 郡山市開成山 「時をかける少女」
10 郡山市合同庁舎 「MISHIMA」
11 郡山市安積歴史博物館 「坂の上の雲」「坊ちゃん」
12 日中ダム 「西部警察」
福島県だけで、映画やテレビドラマのロケ地として使われた場所は多数ある。ぜひガイドマップ(ロケ地マップ)を作成し、そこを観光客に開放してほしい。
4 歴史の舞台となった場所
① 会津若松市(鶴ヶ城・飯盛山・涙橋)
② 母成峠(戊辰戦争の古戦場)
③ 二本松(小浜城・霞ヶ城・小手ノ森城・二本松少年隊奮戦の地)
④ 本宮市(人取橋の戦い) https://www.youtube.com/watch?v=tlxFlB-ZE_Q
⑤ 白河市(小峰城)
⑥ 松尾芭蕉が通った道(須賀川・田村神社・安積山・黒塚・文知摺観音・飯坂温泉・医
王寺)
⑦ 白河の関・勿来の関
5 ミステリースポット巡り(マニア向き)
① 黒塚(安達ヶ原の鬼婆伝説)
② 廃屋(郡山市の3つの巨大廃院・河鹿荘・高子沼グリーンランド跡)
③ 福島の三大ミステリースポット(横向ロッジ・翁島ペンション・弁天山)
④ 自殺の名所めぐり(雪割橋・上蓬莱橋・鵜ノ尾岬)
⑤ 事件・事故現場(松川事件・庭坂事件・磐光パラダイス跡)
⑥ 空想非科学スポット(飯野町UFOの里・白河アウシュビッツ記念館・郡山きのこ岩)
⑦ 壊された建造物(原町無線塔・ふくしま未来博跡・
⑧ 亡くなった人が多い湖(猪苗代湖・沼沢湖・母畑湖・桧原湖)
⑨ 遺構巡り(常磐炭鉱跡・湯本映画館「三凾座」・本宮映画館)
⑩ 恐怖のスポット(佐原処刑場・浅川陣屋処刑場・薬師川処刑場・革籠処刑場)
ただし、冷やかし半分では訪れてほしくない。特に④⑧⑩は慰霊の心で。
6 福島の不思議ツアー
① 歴史に触れる(大内宿・大安場古墳・静御前堂)
② SLでのミステリーツアー(D51498で)桜や紅葉シーズン限定
③ 謎の神社仏閣(新宮熊野神社長床・美里町左下観音堂・中野不動尊)
④ 観音・大仏像(会津村慈母観音・相馬百尺観音・
⑤ 湖に沈んだ村(桧原湖・日中ダム・田子倉湖)
⑥ 宇宙や悠久の時を感じる場所(星の村天文台・あぶくま洞・入水鍾乳洞)
7 その他のツアー
① 工場夜景ツアー・・・小名浜の観光船を使って日没から1時間、海から眺める
題して「工場夜景を見に行かNIGHTクルージング」
② 蔵元めぐり ・・・3年連続日本一の地酒がどのように作られているのか見学する
③ 廃校再利用・・・民宿になった場所、レストランとして再利用など多数ある
④ 工場見学・・・福島を代表する工場(酪王乳業・柏屋・三万石・ )
⑤ スポーツ体験ツアー・・・グラススキー・パラグライダー・ジェットスキー・サイクリング
⑥ 5大花見名所めぐり・・・鶴ヶ城・花見山・平田村芝桜・いわきフラワーセンター・大桑
原つつじ園)
⑦ 三大桜スポット・・・三春滝桜・小野千本桜・富岡夜の森桜のトンネル)
⑧ 三大博物勉強スポット・・・石炭恐竜化石館・アクアマリンふくしま・磐梯山噴火記念
館
⑨ メルヘン&科学博物館・・・スペースパーク・リカちゃんキャッスル・世界のガラス館
⑩ 歌に登場するスポット・・・別れの一本杉(坂下町)・高原列車は行く(沼尻鉄道)・み
だれ髪(塩屋埼)
8 福島セット(1年間の頒布会)をネット販売
1月から12月まで、毎月3,980円で福島県の物産展を宅配する。以下は例
1月 喜多方&白河ラーメンセット
2月 会津味噌田楽・こづゆ・天ぷら饅頭セット
3月 民芸品セット(あかべこ・三春駒・唐人凧・張り子人形・起き上がり小法師)
4月 円盤餃子セット
5月 飯館牛詰め合わせ
6月 高遠そば・山都そばセット
7月 桃の詰め合わせ
8月 ご贈答セット(ままどおる・薄皮饅頭・太郎庵・じゃんがら・むぎせんべい・玉羊羹)
9月 地酒セット(四合瓶3本)・ワインセット(郡山ワイン・高畠ワイン・ワイン工房会津)
10月 会津みしらず柿詰め合わせ
11月 漬物セット(霊山漬け・イカ人参・たくわん)
12月 アンコウ鍋セット
故郷を離れ、遠くで仕事を頑張っている人は、福島を懐かしんでくれると思う。ただし、各商品には、必ず放射線測定値をラベル表示する。
9 温泉地スタンプラリー
福島県には大小合わせて50か所以上の温泉地がある。それをスタンプラリー形式ではしご湯し、10か所以上で景品を漏れなく差し上げる。例えば、有効期間は発行から3年以内で、手桶、豆絞りなどの温泉セット、10個以上で無料日帰り温泉券、30個以上で宿泊券などが漏れなく当たる。
大きな温泉地を挙げれば、常磐湯本、岳、飯坂、穴原、馬場の湯、湯野上、母畑、野地、 新野地、高湯、土湯、芦ノ牧、東山、中の沢、二股、翁島など多数点在している。
10 福島県産の地ビールを開発
「郡山ワイナリー」開設にヒントを得て考えた地ビール開発プロジェクト。五百川にある「アサヒビール」工場と県がタイアップし、共同で開発し醸造販売する。そのためには地元農家と契約し、福島産の大麦ホップを栽培しなければならない。地ビールの名前は県民からの公募で決定する。
11 冬の誘客策
1) スキー場
近年、他のスキー場同士がタイアップし、無料のシャトルバスで行き来できるシステムや共通リフト券を企画販売するようになったが、1980年代後半から90年代にかけてのスキーブームを過ごした世代が親になり、ファミリーで楽しめるようなサービスを展開すべきだ。
① 豪華賞品がゲットできるスノー迷路での宝探し、謎解きゲーム
② ファミリーセット(食事・リフト券・レンタルスキー&ウェア割引)の開発
③ スタンプラリーでサービス券(食事券・一日リフト券・ゲット
④ ゲレンデの平坦な場所にかまくらエリアを設置し、休憩所にして中で鍋料理をつま
む。
⑤ その日訪れたスキーガールでミスNo.1を表彰する。
⑥ ちびっ子向けに雪のフィールドアスレチックを作る。例)雪の巨大恐竜型滑り台。
⑦ カップルが誕生するような企画(昔の未来日記やフィーリングカップル的な)
例えば、リフト券の裏に共通のスタンプラリーを印刷し、5か所のスタンプを集めれば、リフト一日券無料とか、昼食券を貰える。これをゼビオスポーツやデポなどのスポーツ店とコラボし、スポンサーになってもらい、さらにスタンプの個数に応じて、ゴーグルやグローブなどのスキー用品が貰える。スキースノボを購入すれば、リフト無料券サービスとか実施すれば、互いの集客に役に立つと思う。
2) 雪まつり・氷祭り
猪苗代界隈や只見町でも真夏の雪まつりやふるさと雪まつりを行っているが、「さっぽろ雪祭り」とまではいかないが、世界中の観光客が見に来たくなるような巨大な雪像や氷像なども多数設営したい。
3) イルミネーション
師走の名を聞くと、一斉に福島県の各地でイルミネーション装飾が始まり、街はクリスマスムード一色になる。特に個人の邸宅で設置するイルミネーションやネオンは素晴らしく、子供たちはもちろん、地元の人々の目を楽しませてくれる。特に凄いのは、船引町の移地区で、街のメインストリートがLED電球のイルミネーションで光り輝く。また、三春町の影山邸もまた有名。郡山駅西口広場の「光のページェント」も必見の価値あり。福島市では、あづま総合運動公園や四季の里、二本松地区は道の駅安達や夏場の安達太良高原スキー場のネオンも美しい。
12 その他
旧会津高田町(現・会津美里町)に建設を予定している「伊佐須美神社」。これが設計段階では壮大な計画すぎてマジヤバイ・・・。なんと本家本元の「出雲大社」を凌ぐスケール。平成20年に原因不明の火災に遭い、その後、仮社殿のまま参拝を受けている。今は募金活動やそのための建設資金の工面をしているが、もしこれが実現したら、全国から参拝者が押しかける新たな名所になるのは必至。
さて、好き勝手書き綴ったが、このようなアイディアを実現しなければ意味がない。あの手この手で、時を変え品を変えで、様々な戦略で仕掛けを施さなければ、何も変わらない。今年、「ふくしまDC」が成功したのは、頭であれこれ考えるより、まず実行したからだ。土湯温泉の「若旦那」にしても、マスコミがこぞって取材し、情報を全国に発信したから認知度が上がり、多くの観光客が福島市を訪れた。サザエさんで「花見山公園」や会津の「さざえ堂」を描いたから、訪れる客が増えたのだ。
福島原発事故という不運に見舞われた福島県だが、ピンチをチャンスに変える絶好の機会ととらえ、皆で知恵を絞り、実現可能なイベントは実際にやってみたらいい。初めからダメだとか無理だとか考えていたら、状況は変わらないのだ。官民一体となって、宣伝媒体であるマスコミの影響力をフルに活用し、現状打破に向けた協力体制が何より大事なのだと思う。
記事作成:12月27日(日)