この記事は、1月31日に掲載予定の「2016年1月期のCMベスト5」の中で紹介する予定でしたが、あまりにも「箱根駅伝」での心を打つ感動的なシーンがあったため、予定を変更して本日掲載致します。本日公開予定だった「少年時代の想い出が蘇る映像集」と、それ以降の記事は、一日ずつ繰り下げて掲載致します。ご了承ください。
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今年の箱根駅伝は「青山学院大学」の圧倒的な強さで幕を閉じた。一強で、独走状態だと繰り上げスタートの学校が増え、母校の襷が繋がらない結果を招く。この青山学院大の独走の一方で、私が一番感動した筋書きのないドラマが駅伝中継中に紹介されたので、それを今回は取り上げたい。
それは去年、山登り5区を走り、途中で低体温症に襲われ、何度も止まり、ヨレヨレになり転倒しながらも、その都度立ち上がり、必死でゴールした「駒澤大学」3年だった馬場翔大の懸命な姿に尽きる。
誰も予想もしなかった苦しい走りを世間に晒し、往路優勝候補の筆頭だった駒澤大学はまさかの失速。優勝争いから脱落させてしまった責任を痛感した彼は、その後、何度も陸上を辞めようと思い悩み、苦しんだ。しかし、彼の母親は「懸命にゴールを目指し、頑張って走った息子を誇りに思う」と胸を張った。そして地元の岡山県から、折に触れ、息子を励まし続けたのだった。その母の言葉で、馬場翔大は再び走り続けることを決意したという。
そして今年、4年生になり、最後の箱根駅伝を迎えた馬場翔大。当日のエントリー変更によって帰路の8区を任され、区間2位の力走で昨年の屈辱を晴らし、見事にリベンジを果たした。その際、息子の最後の箱根での雄姿を見届けようと、岡山県から上京した母親がゴール間近の沿道で、息子の名前が書かれた手作りの旗を持って、ありったけの声援を彼に送った。そのエピソードがテレビで映し出され、彼のお母さんが必死で彼に声援を送る姿を見た時、私は涙が止まらなかった。その時の模様と、一年越しの馬場翔大の復活劇を描いたのが下の映像だ。
この時、子を思う母親の気持ちが伝わって来てジーンと来た。そして、私は「母親だけは何があっても絶対に自分の味方なんだ」ということを悟った。
そして、馬場翔大が次の9区のランナーに、弾ける笑顔で襷を渡し終えた後、チームメイトに抱き抱えられながら休憩所に下がった時に、堪えていた涙が溢れ、人目も憚らず、大声を出して泣きじゃくった。
おそらく、去年のあの悔しさをリベンジできた嬉しさと、無事に襷をリレーできた喜び、そして何より一年越しでの重圧やあの悪夢の呪縛から解放された安堵感、そして母親や周囲の者への感謝の念など様々な思いが込み上げて来たものと想像でき、私も思いがけずもらい泣きしてしまった。
毎回、このような裏エピソードが明らかになる「箱根駅伝」。各チームが10人しか出場できないシビアな世界。そして出場できるのはシード校10校と予選会から勝ち上がって来た9校、それに関東学連選抜の計20チーム。そして晴れの舞台を迎えた選手たちは、母校の襷を胸に、仲間を信じ、箱根路へと挑む。沿道を埋め尽くす大観衆が、明日の陸上界を担う、日本代表の卵たちに、惜しみない歓声と拍手を送る。まさに筋書きのないドラマが展開され、毎年多くのファンを魅了し、感動を与えるのがこの箱根駅伝なのだ。
では最後に、今大会を盛り上げるべく、過去の駅伝の名シーンの数々を配し、思わず「頑張れ!」と応援したくなる場面を描いた「サッポロビール」の秀逸したCM作品を掲載し、結びとしたい。
このCMを見ていると思うことがある。それは「頑張る姿は美しい」ということ。それはスポーツだけでなく、人間の生きる姿そのものだと思う。よく人生はマラソンランナーに例えられる。山あり谷あり、そして時には吹雪や嵐の中を駆け巡る試練を与えられる。しかし、その先には眩しい太陽に照らし出されたウィニングロードが待っていると信じている。美しく輝く七色の虹の下を駆け抜けて行くその日を夢見て人は生きているのだと思えてならない。年の初めに「箱根駅伝」を見て、生きる糧を得たり、パワーを貰っている人はきっと多いと思う。
私は終生、「箱根駅伝」を応援し続けたいと思う。
記事作成:1月4日(月)