1970年代はフォークが全盛だった。カレッジフォークブームが巻き起こり、長髪にパンタロン姿が流行し、駅構内でフォーク集会がゲリラライブで開催されたり、「中津川フォークジャンボリ」や「嬬恋」などのフォークイベントが「真夏の祭典」として毎年の風物詩となった。吉田拓郎を筆頭に、南らんぼう、かまやつひろし、小室等らがその中心的役割を果たし、井上陽水、因幡晃なども参戦しその存在感を示した。また、かぐや姫やガロがヒット曲を生み出した。今思えば古き佳き時代と言えるが、この時代は、世相や思潮を反映して文学青年や苦学学生なる若者が多かった。「神田川」はその最たる描写だった。そして学生運動などが盛んで団結力があり、若人たちのパワーが漲っていた。
そんな1970年代を振り返れば、私は小学生時分だったが、あたかも時代の流行や風潮に逆らうかのような自己主張を堂々と繰り広げていて、そうした面々を幼心に鮮烈に覚えている。今日は、その中でも私が印象に残るシンガーとお気に入り曲をお送りしたい。
1 吉田拓郎 「旅の宿」
アコースティックギター一本に首からぶら下げたハーモニカ。これが彼のお馴染みの演奏スタイル。長渕が彼を手本にして登場した。旅の情緒満載で、細かい描写は彼ならでは。匂いまでも伝わって来そう。
「夏休み」を歌う嬬恋コンサートはコチラ
https://www.youtube.com/watch?v=a1dTEpxZ17o
「結婚しようよ」はコチラ
https://www.youtube.com/watch?v=ryutpbPwrz4
2 かぐや姫 「妹」
このライブ映像は超レアで涙もののお宝映像。コンサート会場に詰めかけたファンと誰が呼びかけた訳ではないのに、一緒に口ずさみ、やがて合唱に。鳥肌が立つ歌手冥利に尽きる映像だ。歌詞が生活感が溢れ、実に生々しい。「神田川」は、田舎から出て来た苦学学生の東京での暮らしをありのまま飾らぬ姿で描写した秀作。他にも「赤ちょうちん」も珠玉の一曲だ。
「神田川」はコチラ https://www.youtube.com/watch?v=JSgyHiKESGw
3 風 「22才の別れ」
私が学生の頃にハマったのがアリスと風。特に「北海道」に住んでいた頃に彼らの楽曲を夢中で聴いていた。「
4 チューリップ 「心の旅」
財津和夫率いるチューリップの代表曲がこれ。個人的には「青春の影」や「虹とスニーカーの頃」がお気に入り。作風やコンセプトは「オフコース」とかぶるが、存在自体は地味だが、名曲を多く生み出した。心にしみわたる美しい歌詞が定評があった。
「青春の影」はコチラ https://www.youtube.com/watch?v=yFa6czilRNU
「虹とスニーカーの頃」 https://www.youtube.com/watch?v=SgAhcT4ifA0
5 井上陽水 「夢の中へ」
軽快なリズムに乗って裏声を駆使した斬新な歌唱法に当時はビックリしたものだ。彼の原曲を様々な歌手がカヴァーしていることから考えても名曲中の名曲。アフロヘアーにも当時の若者はカルチャーショックを受けたに相違ない。「傘がない」はあまりにも赤裸々で衝撃的な歌詞に度肝を抜かれた。社会問題化した事案を包み隠さずに真実を歌に託して世間に公表し、波紋を投げかけた問題作。鬼気迫るものを感じる。
「傘がない」はコチラ https://www.youtube.com/watch?v=AqcBmO1En3M
他にこの1970年代フォークを代表する名曲には「翼をください」(赤い鳥)、「花嫁」(はしだのりひことクライマックス)、「冷たい雨」「フィーリング」(ハイファイセット)らがいる。
「翼をください」はコチラ https://www.youtube.com/watch?v=la35ph4gpuA
「花嫁」はコチラ https://www.youtube.com/watch?v=m_CFnreaOes
「冷たい雨」はコチラ https://www.youtube.com/watch?v=qJyLWYGHyrU
「フィーリング」はコチラ https://www.youtube.com/watch?v=NFW6xU2aAFo
ところで、私が居を構える郡山市で、1974年、私が10歳の時に、伝説のロックフェスが開かれた。なんと、日本初の野外でのロックコンサートだったのだ。その名は「ワンステップ・フェスティバル」という。その参加者は今では考えられないような伝説のメンバー達であった。プロデューサーに内田裕也、四人囃子、加藤和彦&サディスティック・ミカ・バンド、沢田研二&井上堯之バンド、かまやつひろし&オレンジ、上田正樹&サウス・トゥ・サウス、ミッキー吉野グループ、はちみつぱい、外道、クリエイション、ダウンタウン・ブギウギ・バンド、センチメンタル・シティ・ロマンス、サンハウスなど30組以上の日本ミュージシャンに加え、アメリカからはオノ・ヨーコも参加するなど、当時日本最大のロック・フェスティバルと呼ばれた伝説のイベントだった。(「Rooftop」から記事を引用させていただきました)
さて、今日は70年代を代表する5名のアーティストの名曲を取り上げた。この時代は1960年代後半のGSブームが下火になった頃、入れ替わるように、しっとりじっくりと聞かせるバラード系のフォークソングが台頭した。どこか牧歌的で懐かしい曲調。安心して耳を傾けられる不思議な魅力に溢れている。こうしたそのジャンルの先駆者がいたからこそ、今のミュージックシーンが存在する。そのことを胸に秘め、時々原点回帰してみることも必定なのではないだろうか。
記事作成:7月11日(金)