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Channel: 時遊人SUZUのひとり言
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人生の重みを感じる歌

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 これまで何百万もの歌が世に出た。恋愛沙汰をテーマにした楽曲やメッセージソングは流行り歌として数あれど、人生を実感できる重みのある曲は少ない。歌謡界は1970年代がその時代や世相を反映して最もメッセージ性が色濃かったように思う。それは反戦だったり、平和を訴えるものであったり、若者の葛藤やげ学歴社会への反発であったり、若者が自由に思想や己のイデオロギーを主張をしていた時代だ。そこには確固たる意見があり、それを歌にして訴えた。フォーク集会などもそうだったし、団結した学生運動もそうだった。そんな時代にあって、私が聴くと人生の重みを実感する名曲を取り上げたいと思う。

 1 一人の道 by 茶木みやこ

 52年前に開催された「東京オリンピック」の男子マラソン競技で銅メダルを獲得した福島県須賀川出身の円谷幸吉選手。一躍英雄になったが、その後、度重なる故障に苦しみ、そして過度の期待と重圧に押しつぶされ、自ら命を絶った悲運のランナー。その円谷幸吉さんを偲んで歌った曲。彼が家族に宛てた直筆の遺書を実際に彼の記念館で目の当たりにし、涙が出た。その彼の栄光と挫折を歌詞に託している。
 茶木みやこの歌で「泪橋」というのがあるが、これもこれも重い歌だ。

 遺書はこちら https://www.youtube.com/watch?v=TYWruGl8CoU

 

 2 イムジン河 by フォーク・クルセイダーズ

 「イムジン河」は、朝鮮民主 主義人民共和国のプロパガンダ楽曲。作曲は高宗漢、作詞は 朴世永。1957年7月発表。 日本語の歌詞がついたものとしては、ザ・フォーク・クルセダーズによって歌われた松山猛による日本語詞 (1968年)。
 臨津江(リムジン江) で分断された朝鮮半島についての曲であり、主人公は臨津江を渡って南に飛んでいく鳥を見ながら、なぜ南の故郷へ帰れないのか、誰が祖国を分断したのかを鳥に問いかけ、故郷への想いを募らせる内容である。

 この曲を巡っては、発売元の東芝音楽工業に対し朝鮮総連は、これが北朝鮮の歌であることと作詞作曲者名を明記すること、原詞に忠実に訳すことを求めていた。後者に関しては、洋楽の日本語訳詞でも原詞と完全な一致はしない物も多かったためあまり問題ではなかったものの、レコード会社は国交のない北朝鮮の名を出すことを躊躇し、大韓民国も北朝鮮の曲が日本国内でヒットすることを望まなかったためレコード会社に圧力をかけ、結果発売自粛となったようである。また、東芝音楽工業の親会社の東芝が大韓民国内での家電製品のシェア拡大に悪影響を及ぼすことを恐れたため圧力をかけたという説もある。いずれにしても政治的圧力が働いたことは間違いない。

 3 竹田の子守歌

 竹田の子守唄(たけだのこもりうた)とは、現在の京都府の被差別部落に伝えられた 民謡、およびそれを基にしたポピュラー音楽の歌曲である。日本のフォーク、ロック歌手 達によって数多く演奏されている。
  他のフォーク歌手が歌うのを聴き、赤い鳥も歌うようになった。最初は、この曲の由来や意味も理解していなかったが、ヒット後に背景を調べ自分達のものにしていった。1971年2月5日にシングル・カットして3年間でミリオンセラーとするが、被差別部落絡みの楽曲であったために日本の放送局はこの楽曲を放送したがらなくなり、いわゆる「放送禁止歌」(封印作品)として長い間封印されることになったが、1990年代に封印は緩和され、赤い鳥の解散後に結成された紙ふうせんを始め、多くの歌手によってカヴァーされている。

 4 償い by さだまさし

https://www.youtube.com/watch?v=MzNeMZqNwL4

 たった一度の過ちが取り返しがつかない悲劇を生むことを切々と歌い上げた名曲。命の重みや反省、後悔を詩に散りばめてあり、人生の重みを実感できる。

 34年前のこの歌を有名にしたエピソードは、東京地方裁判所の山室惠裁判官が、判決文よみあげた後、「さだまさしの償いの歌詞だけでもよみなさい」と被告をさとしたことから有名になった。判決翌日、被告の少年、少年の叔母が拘置中の東京拘置所あてに投かんしていた「償い」の歌詞を書き写した手紙を読んだ。
接見した母親が「人に許しを請うのは簡単な事ではない」と言うと、「そうだね」と答えたという。
 判決文よむと、被告になった人もかわいそうだね。
酔っ払った被害者に しつこく絡まれて、事件になったんだけど過剰防衛(正当防衛)認められなかった。

 5 手紙 by 岡林信康

 「友よ」や「私たちが望むものは」の代表作で知られる日本のフォークの神様と呼ばれた岡林信康の「手紙」。この曲も部落差別をテーマにしており、被差別部落出身のいうことで結婚できなかった女性が自殺をして、その遺書をもとに作られたからという理由で放送禁止になった。

 さて、こうした曲を聴くと、軽い気持ちで音楽を楽しめなくなる。命の重みや民族の対立、解決困難な溝、政治的な紛争など、背景にあるものが大きすぎて計り知れない。人生とは何か、愛とは何か、生と死とは・・・という人間の心理や人生の真理にも迫る意義深さを噛みしめる。のほほんとした気持ちで毎日を生活できなくなりそうだ。しかし、時々こういう重みのある歌に触れることで、自分の人生を振り返り、これから自分が何をすべきか、果たすべき役割を考え直す、あるいは自分を見つめなおす契機となる。残り少ない時間をどう過ごすか、そして人生のエピローグをどう迎えるのか、真摯に向き合い考えていきたいと思う。終戦の日にあたり、こういう気持ちをここに記しておきたい。

 記事作成:8月15日(月)


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