「そーなんだ」という雑誌が刊行して久しい。子供が感じる何気ない不思議や日常抱いている疑問に図説でわかりやすく答える勉強にもなるし為になる書籍だ。それを倣った訳ではないが、私自身、ふと思いついたことを記事にしたがる悪い癖がある。雑学も好きだが、好奇心旺盛と断っておこう。
私は世の中の事象を鵜呑みにせず、まず疑ってかかる悪い癖がある。特に既存の概念にはいつも疑問符を投げかけてしまう。日本史などでは続々と新たな証拠が見つかり、それまでの常識が塗り替えられたり、覆されたりすることが多々あるが、その手の発想だ。
今回は、このテーマをシリーズ化したいという思惑があるが、まずは手始めに、以前から疑問に思っていた話題を投げかけたい。それは歌の歌詞だ。よく「人は誰でも~」とか「人は皆~」というのがある。中には「男は誰も皆~」というものまであるが、気持ちが大きくなった作詞家が、十把一絡げのように共同体のごとくまくし立てるが、それらの歌詞は「本当にそうなのか?」。「勝手に決め付けたり、思い込んでいたりしていないか?」。今回はそれらを疑問視して検証してみたい。
ではまず、そのような文言が歌詞として使われている楽曲を取り上げたい。
1.Baby Baby/推定少女
人は誰でも天使で生まれる
2.Believe/THE ALFEE
人は誰でも倒れるけど たったひとつの愛の光が壊れた心救うのさ
3.First Snow/陣内大蔵
人は誰でも行く先などわかりえない
4.Good-bye/sinon
人は誰でも淋しいから いつでも夢を抱きしめてるのね
5.Kiss/Crystal Kay
人は誰でも宿命のなか 生きているの逆らえず
6.NO MORE ENCOR/中森明菜
人は誰でもシンガー ブルースを歌っているのさ
7.あの鐘を鳴らすのはあなた
人はみな、悩みの中 あの鐘を鳴らすのはあなた
8.あの日から/南こうせつ
人は誰でもみんな 褪せてく思い出に愛の忘れ物を探してる
9.あの日にかえりたい/松任谷由実
青春の後姿を 人はみな忘れてしまう
10.1月の雨を忘れない/THE ALFEE
人は誰でも大切な何かを忘れて行くのか
11.エルドラド/THE ALFEE
人は誰でも旅人になる
12.風/はしだのりひことシューベルツ
人は皆だれもただひとり旅に出て 人は誰もふるさとを振り返る
13.風の谷のナウシカ/安田成美
人は誰でも飛び方を知っているものよ
14.かしこ/うしろゆびさされ組
人は誰でもツレヅレ大人になって次の線路を探すものね
15.恋なんて/古内東子
人は誰でも忘れることが器用にできる
16.心のプラカード/AKB48
人は誰でも胸のどこかに大事な言葉をしまっているんだ
17.素顔/渡辺美里
人は誰でもたった一度は生命をかけて恋をする
18.すなおになれば/吉田拓郎
人は誰でも失った何かが戻ってこないかと扉を開けたまま夢を待ちわびる
19.背中から抱きしめて/大原麗子
人は誰でも愛される 不安があるのね
20.戦士の休息/町田義人
男は誰も皆、無口な兵士
21.道化師〈ピエロ〉/THE 虎舞竜
人は誰でも一度くらいはピエロを演じるものさ
22.人にやさしく/THE PAN
人は誰でもくじけそうになるもの
23.向日葵/高橋真梨子
人は誰でもいつかはやさしくなれると
24.魔法のぬくもり/井上あずみ
人は誰でも自分で夢ひらくの
25.道標/杉良太郎
人は誰でも弱い罪びと 責めることなど出来ないさ
26.伝言 メッセージ/武田鉄矢
人は誰でも心に小さなはかりを持って恋の重たさ比べながら愛を探して街を流れる
27.夢/岩崎宏美
人は誰でも不器用で悲しくなるくらい不器用で
「魔鏡」という歌詞検索サイトによれば、歌詞の中に「人は誰でも」というのが出てくる曲は100曲を超えている。
http://mojim.com/%E4%BA%BA%E3%81%AF%E8%AA%B0%E3%81%A7%E3%82%82.html?t4
今日取り上げた36曲はほんの氷山の一角ということになる。これが「人は誰も」という歌詞にすると、やはり100曲を超える。「人はみな」も100曲を超えるし、「人は皆」も100曲。「人は誰もが」も100曲以上ある。
果たして本当に「人は皆、そうなのか」と疑念を抱いてしまう。中には納得できるものもあるが、気持ちが大きくなった作詞家が勝手な基準で言い放ったり、思い込んでいるだけではないのか?それをさも日本人全員の総意であるかのように書くのはいかがなものかと思ってしまう。別にケチをつけるわけではないが、世の中、あまのじゃくはいるもので、100%そうだとは言い切れない。まして昨今の教育はゆとり重視で個性も重視している。もはや「右倣え」とか「右向け右」の時代ではないのだ。それを十把一絡げのように言うのは反発を招くだけだ。
かくいう私も批判覚悟でこの文面をしたためている。しかし、この世の中「おかしい」と思えるような節は幾らでもある。疑問など持たないほうが幸せな人生を送れるようにも思えるが、常に疑問を投げかけ、問題意識を持って生きたほうが、神経が研ぎ澄まされ、気づかないで見過ごしてしまう自然現象にも目が向くのではないかと思ってしまう今日この頃だ。
記事作成:平成27年3月31日(火)~平成28年3月