東日本大震災により、私は45歳の時から通い始めた某大学法学部の通信教育を休学していた。理由は、原発事故発生により、いつ避難を余儀なくされる状況下に置かれ、おちおち大学生を続けるわけには行かなくなったからだ。もっとも25年前に法学部以外の文系学部を卒業しているため、8年間在籍可能の同大を急いで卒業する必要がなかったことと、仕事が多忙を極める中、自分のペースで勉学に勤しむことができる通信教育を選んだため、もとから8年計画という甘えがあった。ぼちぼち復学し、残された単位修得に励もうと考えている。
さて、前置き(というより弁解)はこれくらいにし、本題に入るとする。正直に言えば、私は学生時代、とにかく大の勉強嫌いだった。だから浪人する羽目になったのだが、本来は学生の頃に覚えておかなければならない既習事項を蔑ろにしていたため、今そのツケが廻って、自分の知識のなさに愕然とし、恥ずかしい思いをしている。人生も半ばを過ぎ、こんなことも知らない自分を情けなく思っているのだ。社会の常識や一般教養がまるで身についていない。私の10年先輩の方々は、苦学学生が多く、文学青年と呼ばれる勉強熱心な学生が多かった世代だ。しかし私の学生時代は、バブルの絶頂期にあって、親のすねをかじり、親の苦労も知らずに贅を尽くし、バイクを乗り回した親不孝の学生生活を送ってしまい、今更ながら申し訳なく思っている。このままではヤバイと思い、50の手習いとはよく言ったものだが、このまま年老いていくことが悔しいと思い、一念発起し、再び中学時代からの復習を決意した次第である。これを非定期ながら、シリーズ化しようという魂胆だ。記念すべき第一回目の今回は、国語の文学作品を取り上げることにする。かの有名な夏目漱石や文豪と呼ばれた数多くの有名作家の作品をほとんど読まずに、のんべんだらりとした生活を過ごして来たため、作品名と作家名が混同しているのが現状で、それを正しく認識したいのだ。もちろん中身もよく知らない。実に嘆かわしい。それを打破しようという目論見である。タイトルは大学の創始者・福沢諭吉先生を文字って「勉強のすゝめ」とさせて頂きたい。
それでは早速始めたいが、今回は日本人作家に限定し、古典作品からの文学作品を100作品アットランダムに列挙したいと思うが、みなさんもその作者が誰かを一緒に考え、当てにいって欲しい。解答は最後に発表したい。
1 海潮音 51 人間失格
2 高瀬舟 52 氷点
3 暗夜行路 53 山月記
4 城の崎にて 54 桐の花
5 たけくらべ 55 友情
6 伊豆の踊り子 56 点と線
7 枕草子 57 阿呆の一生
8 新平家物語 58 高野聖
9 源氏物語 59 五重塔
10 山家集 60 破戒
11 潮騒 61 在りし日の歌
12 野菊の墓 62 三四郎
13 吾輩は猫である 63 雨ニモマケズ
14 雪国 64 阿部一族
15 津軽 65 雁
16 一握の砂 66 好色一代男
17 道程 67 五輪の書
18 舞姫 68 不如帰
19 蟹工船 69 山羊の歌
20 富嶽三十六景 70 それから
21 若菜集 71 月に吠える
22 歎異抄 72 浮雲
23 みだれ髪 73 学問のすゝめ
24 山椒魚 74 阿Q正伝
25 銀河鉄道の夜 75 古事記
26 路傍の石 76 更級日記
27 草枕 77 方丈記
28 羅生門 78 曽根崎心中
29 金閣寺 79 奥の細道
30 武蔵野 80 虞美人草
31 邪宗門 81 黒い雨
32 田舎教師 82 小説真髄
33 徒然草 83 十六夜日記
34 新古今和歌集 84 万葉集
35 金色夜叉 85 金槐和歌集
36 風立ちぬ 86 雨月物語
37 東海道中膝栗毛 87 世間胸残用
38 真実一路 88 或る女
39 細雪 89 赤光
40 土佐日記 90 天城越え
41 蜘蛛の糸 91 次郎物語
42 走れメロス 92 風の又三郎
43 夜明け前 93 蜻蛉日記
44 二十四の瞳 94 春琴抄
45 坊ちゃん 95 坂の上の雲
46 智恵子抄 96 帰郷
47 砂の女 97 野火
48 檸檬 98 恩讐の彼方に、父帰る
49 斜陽 99 南総里見八犬伝
50 桜の樹の下には 100 布団
解答編
1 上田敏 51 太宰治
2 森鴎外 52 三浦綾子
3 志賀直哉 53 中島敦
4 島崎藤村 54 北原白秋
5 樋口一葉 55 武者小路実篤
6 川端康成 56 松本清張
7 清少納言 57 芥川龍之介
8 吉川英治 58 泉鏡花
9 紫式部 59 国木田独歩
10 西行 60 島崎藤村
11 三島由紀夫 61 中原中也
12 伊藤左千夫 62 夏目漱石
13 夏目漱石 63 宮沢賢治
14 川端康成 64 森鴎外
15 太宰治 65 森鴎外
16 石川啄木 66 井原西鶴
17 高村光太 郎 67 宮本武蔵
18 森鴎外 68 徳冨蘆花
19 小林多喜 二 69 中原中也
20 葛飾北斎 70 夏目漱石
21 島崎藤村 71 萩原朔太郎
22 歎異抄 72 二葉亭四迷
23 与謝野晶子 73 福沢諭吉
24 井伏鱒二 74 魯迅
25 宮沢賢治 75 太安万侶
26 山本有三 76 菅原孝標女
27 夏目漱石 77 鴨長明
28 芥川龍之介 78 近松門左衛門
29 三島由紀夫 79 松尾芭蕉
30 武蔵野 80 夏目漱石
31 北原白秋 81 井伏鱒二
32 田山花袋 82 坪内逍遥
33 吉田兼好 83 阿仏尼
34 藤原定家ほか 84 太安万侶ほか
35 尾崎紅葉 85 源実朝
36 堀辰雄 86 上田秋成
37 十返舎一九 87 井原西鶴
38 山本有三 88 有島武郎
39 谷崎潤一郎 89 斎藤茂吉
40 紀貫之 90 松本清張
41 芥川龍之介 91 下村湖人
42 太宰治 92 宮沢賢治
43 島崎藤村 93 藤原道綱母
44 壺井栄 94 谷崎潤一郎
45 夏目漱石 95 司馬遼太郎
46 高村光太郎 96 大仏次郎
47 安部公房 97 大岡昇平
48 堀井基次郎 98 菊池寛
49 太宰治 99 滝沢馬琴
50 堀井基次郎 100 田山花袋
さて、何問正解できただろう。新潮文庫の100冊ではないが、死ぬまでには一度は読んでおきたい作品だ。数百年も前から読者を魅了してやまない作品には、何かしら心惹かれる魅力があるに相違ない。本来であれば、20代の多感な時期にこのような名作と出会いたかった。
記事作成:6月24日(月)
追記:7月8日(月)
読売新聞の日曜特別版に「風立ちぬ」の記事が掲載され、この夏、読んでおかなければならない古典的小説に耽ようと、図書館から堀辰雄の「風立ちぬ」、高村光太郎の「智恵子抄」、そして「オペラ座の怪人」を借りた。今更だが、自分が経験できなかった文学青年になった気分だ。夏の終わりまでには読破したい。