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Channel: 時遊人SUZUのひとり言
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さらば、愛しき「点心」

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 その店は私の行きつけだった。たぶんこの3年間で30回以上訪れ、随分とお世話になった場所だ。それは郡山市八山田の某工業高校の東隣りにあった「点心」という名前の中華料理店だった。テーブルが5つしかないこじんまりした小奇麗な飯屋さんだった。60~70代くらいの夫婦がふたりで切り盛りし、駐車場も車4台停めればいっぱいで、奥には別棟の自宅が建っていた。

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 私がその店を知ったのは、3年前の4月に転勤し、今の職場に勤務してからだ。同僚に連れて行かれ、その手頃な値段、料理のボリュウム、そして何より、そのおじちゃんとおばちゃんの人柄に惚れたのだった。
 特に私が好きだったのはBランチだった。このご時勢にあってなんと税込み700円。消費税が8%になった際も、値上げをしないで客思いの価格で頑張ってくれた。しかもそのランチのボリュウムたるや半端じゃなかった。大きな器に醤油ベースの鶏がらスープ系のあっさりラーメンに、半チャンと言っても大盛りのチャーハン、これに大きな鶏の唐揚げが5~6個もつく。そして飲み物はウーロン茶かジュースを選ぶことができた。
 今どきこんなサービス満点の店などないくらいの出血大サービスぶりだった。まさしく儲ける気など毛頭なく、あたかも趣味やボランティアでやっているような店だった。食後は、大食漢の私でも、満腹状態で、夕飯抜きでも胃もちしそうな量だった。ちなみに夏場はラーメンを冷やし中華に変えることも出来た。

 これが私がいつも注文していたBランチ(税込み700円)

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 その店は月曜日が定休日だが、普段は11時半から営業をしていて、スープが無くなったら閉店という具合だった。ランチは14時半までとなっていた。ランチというと普通は平日と相場は決まっている物だが、ここは土日だって特別価格にてランチをご奉仕してくれた。
 12時過ぎに行くと、縦列駐車で車が出せなくなるため、私はいつも11時半には暖簾をくぐるようにしていた。土曜日は、私一人で訪れることが多かった。

 私のささやかな楽しみでもあったし、そこでたらふく食べるのが至福のひとときでもあった。そこのテレビで「サタふく」を見ながら食すことも多かったし、カラーBOXに並んだ、我が愛読書の「美味しんぼ」の漫画本も何冊も読んだ。

 昼時には、周辺のオフィスのサラリーマンや建設関係の常連客がいて、客が少ないことはなかった。

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 しかし、今年に入って、店を開けない日々が続いた。
 「どうしたんだろう」と気にはなっていたが、平日は「オフィスミール」提供の職場の350円仕出し弁当を食べていたため、なかなか足が向かなかった。

 そのうち、2月頃から店の工事が始まった。何気なく通りかかった時に、店の南側の入口を壊し、ブルーシートがかかっていた。私はてっきり、店を改装するのかと思っていた。しかし、その期待は見事に裏切られ、3月にはシャッターが取り付けられ、まるで物置小屋として使うかのような改築を施してしまった。この時点で私はおじさんが寄る年波に勝てず、店をたたむ決心をしたのだと悟った。よもや健康を悪くされたのではあるまい。

 最後に時すでに遅しだが、もう一度あのBランチを味わいたかった。おじさんとおばさんに、「ご苦労様」とねぎらいの言葉もかけられないまま、閉店してしまった。店を辞めるなら、事前に知らせてほしかった・・・。
 残念ながら、私の楽しみの一つが奪われてしまい、しばらくは落ち込んでしまった。3年しか通い詰めていないが、気さくなおばさんとの想い出が尽きない。

 直接お別れを言うことができなかったので、このブログを通して伝えたい。

 「私にとって『点心』は心から寛げる最高のお店でした。3年間ありがとう。そして、おじさん、長年の料理人人生、そしておばさんの内助の功、本当にお疲れ様でした。あとはゆっくり休んでください。」

 「私はここに『点心』があったことを絶対に忘れませんよ。」

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 最後の2枚の写真は「hybirdな日々」さんのブログ記事よりお借りいたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。

 記事作成:3月29日(日)


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