日本には「芸は身を助く」という諺がある。外見はどうでも、誰にも真似できないような優れた一芸があれば、それだけで人の尊敬を得、一生生活に困らないことの例えである。この言葉を実感させ、実現させた数多くの人物がいる。「人は見た目で判断できぬ」ということも教訓として与えてくれるような、それだけで人を感動の渦に巻き込むことも可能だ。本日は、そのようなテーマでお送りしたい。題して「神が授けた天賦の才能」である。
1 スーザンボイル
「奇跡の歌声」とは彼女のためにあるような言葉だ。どこにでもいるようなおばさんが、ある番組に出演したのを機に人生がガラリと変わった。類まれな歌唱力。観衆を魅了し尽くしたその存在感。彼女の歌声を耳にした者は、言い知れぬ感動に包まれる。最初の発声で観客は圧倒され、気がつくと大きな拍手に会場全体が包まれ、歓声が飛び交う。見た目とのギャップはもちろんだが、「神が授けた奇跡の歌唱力」と言って間違いない。全身に鳥肌が立ち、自然と涙する観衆で溢れていた。まさに「夢を掴んだ奇跡の歌声」である。
2 ポールポッツ
これはイギリスのオーディション番組「Britain's got talent」に彼が出演した時の映像。
彼もまた見た目は冴えないおじさんであった。しかも小学生時代はその風貌から周囲からいじめられていた存在。しかし、独学で好きなオペラを人知れず学び、練習に練習を重ね、自分だけの世界を確立した。審査員も泣いてしまうほどの恐るべき歌唱力を披露したのだった。この映像を見れば、超辛口の審査員も呆気にとられ、会場全体が異様な感動に包み込まれているのがわかる。彼の歌が終わった後、誰も文句を言わない。彼は本職顔負けの歌声を次々番組で披露し、本物のオペラ歌手としてCDデビューを果たしたのだった。まさに秀でたものがあったからこそ、神は彼を見捨てずに、輝きを与えたのだと思う。
3 ロボットのぞみ
彼に対しては天賦の才能というのは誤りかもしれない。おそらくは人知れぬところで懸命に芸を磨き、血の滲むような努力を重ねて今に至ったという気さえ感じる。されど、若い才能は早くに開花し、その独特な感性で人々の心を掴み、その類まれなパフォーマンスで魅了していることもまた事実。若きパフォーマーは誇り高き芸風を携え、ここに降臨したのである。
4 いっこく堂
彼の才能は並ではない。他人が真似しようとしてもまず無理だ。その芸風を見れば、あくまでオリジナリティーを追求したスタイル。どこから声を出しているのか。変幻自在で何人もの人の声を使い分ける。一度彼がものまね番組に出演した際、ちびまる子に出てくる登場人物をいくつも実演してみせた。終いには十八番の松山千春と谷村新司、そして歌唱力がないと絶対にできない秋川雅史の歌真似までやってのけた。
http://www.youtube.com/watch?v=hLCk304AfFk
さて、彼らには、天は二物を与えなかったかもしれないが、その芸や歌唱力は神に選ばれし「天賦の才能」と言えるだろう。しかしながら、彼等の芸を目の当たりにすると、才能だけでは決して開花しなかったということも垣間見える。陰ながら続けてきた長年の苦労が実を結ぶこともあるだろうし、それが人生の糧ともなるし、生き甲斐ともなることを証明してくれているようだ。
彼らの生き様を見ると、手本として人生の勉強になるし、見習うべき点は多数ある。玉石混交ではなく、まがい物は捨て、本物をとことん追求する飽くなき探究心やその姿勢だ。「下手の横好き」でいろんなことに首を突っ込み、結局は「多芸に無芸」で終わらぬようにしたいものだ。
記事作成:6月26日(水)