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Channel: 時遊人SUZUのひとり言
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ありえないスポーツハプニング集②

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 10月9日に掲載したシリーズ記事の第二弾。今回は「ありえない」というよりも感動的な名シーンを生んだハプニングを紹介します。

 1 ソフトバンクと日本ハムの友情物語

 2012年のシーズン限りで現役生活にピリオドを打った小久保裕紀選手。その最終戦で、札幌ドームのファンは感動する場面を目の当たりにした。それは両軍が入り乱れての胴上げシーンだった。ファンだけでなく選手からも愛された、チームリーダーとして活躍し、練習の鬼で真面目一徹人間の小久保に対し、温かいセレモニーで引退を見送ったのだ。



 この感動物語はこれだけでは終わらず、なんと続きがあった。その2年後の今年10月20日、日本シリーズ進出をかけて戦ったCS第2ステージで、再び両軍が対戦。試合終了後のヤフオクドームでは、2年前を再現する感動ドラマが繰り広げられた。今度は今季限りで引退を表明した、日本ハムの稲葉篤紀選手と金子誠選手をソフトバンクの選手が駆け寄り、胴上げするシーンが演じられた。なんと素晴らしき清々しい男たちのドラマだろう。礼には礼をもって応える。それが日本人の礼儀であり、スポーツマンシップなのだ。

 このような粋な心遣いは選手冥利に尽きる。これも彼らの頑張ってきた姿に励まされてきた方々のささやかな感謝の気持ちだと思う。努力は人を感動に導く。彼らの人徳なのだと思う。

 2 人間星野仙一、敵将に送る花束

 2003年、球団経営者との確執が表面化し、その責任を取る形で辞任を表明した原辰徳巨人監督。前年度日本一に輝いた男をぞんんざいに扱った巨人に対して敵将でありながら阪神監督として同じ苦しさを痛いほど知る星野仙一が、なんと甲子園球場での巨人・阪神最終戦で、セレモニーを行う粋な計らいを演じた。ゲームセット後、突如沸き起こった阪神ファンの「原コール」の中、花束を抱えた星野監督が三塁ベンチ方向へ歩み寄る。それに気づいた原監督がバックネット方面へ。正面で星野監督の労いと激励を受けた原監督の目には大粒の涙が・・・。「また戻って来いよ」。チームは違えど弟のように可愛がっていた原監督の退任に花を添えた。やはり星野監督の人間の大きさだ。この年、退任した原監督を慕っていたコーチ陣も大多数が辞任。後任監督が決まらず、やっとの末に巨人OBの堀内氏に決まったが、コーチ人事も難航。巨人軍の歴史で初の汚点とも言える失態を演じた。その堀内は、2年間の指揮の中でBクラスとなり、フロントを刷新した末に、三顧の礼をもって原監督が再登板を果たした。

 3 楽天・星野監督退任セレモニー

 2011年の東日本大震災の時に監督に就任し、東北の人々に勇気と活力を与えて来た東北楽天ゴールデンイーグルス。現役時代は中日のエースとして君臨した。「燃える男」としてファンに愛され、引退後は闘将として中日、阪神、日本代表、そして楽天の監督として活躍した。誰からも愛された一野球人星野仙一は、今年惜しまれながらユニホームを脱ぐ決断をした。彼の苦渋の決断に、誰も異を唱える者などいなかった。それは彼が辛い体に鞭打って指揮を執っていたかを理解できているし、なにより、高校野球でも実施できなかった日本一の栄冠を獲得し、震災で暗く沈む被災地・東北の人たちにここまで元気を分け与えてくれた。その感謝の意を込めて行われたセレモニー。監督退任でここまで大々的に退任式が行われたことはない。本当にお疲れ様。そして夢をありがとう。

 結びに、星野監督退任の挨拶をどうぞ!

 素晴らしいセレモニー、昨年を思い出します。重苦しい、苦しい、悲しいシーズンでした。でも、最後まで本当に見届けてくれまして感謝します。思い起こせば4年前、大震災から私が就任しました。どうなるのやら、本当に何と言うか、悲しいスタートでした。でも、選手らとともに東北の人たちを何とか喜ばせよう少しでも和まそう、そういう思いでスタートした一年でした。勝負というのは本当に残酷です。昨年のあの皆さんから、そして選手から何度も何度も宙を舞ったあのシーンを思い出します。あのまま本当に時計が止まってほしいと思ったぐらいうれしいあの瞬間でした。

 まさに今年と昨年は天国と地獄です。歓喜の後には悪夢が常に寄り添っている。人生ってそんなもんだなと、そんな思いで1年間を過ごしました。最大の責任は私が長期にわたり皆さまの前から消えたことです。痛切に責任を感じております。このままでは皆さんを喜ばせられない、そういう思いで今日限りユニホームを脱がしていただきます。

 本当に4年間、短いようで私にとっては非常に長く感じました。特に1年目は皆さんとともに苦しみ励まし合い、何とか生き抜こう、そういう思いで東北の皆さんとともに戦ってまいりました。皆さんも忘れちゃいけません。あの悲しさ、悔しさ、我々もいつまでも勝負の世界というものは悲しさや喜びやそういうものが入り交じってきます。ただ今年、こういう結果になりまして選手たちが、また皆さんとともに夢を追いかける、目標に向かって前に進む、そういうことができました。中途半端に4位5位じゃ面白くない。思い切って最下位からまた皆さんを喜ばせよう。そんな選手になってもらいたい。

 ようやくスタンドの皆さんから激しいヤジが飛び出しました。私はこれが一番うれしい。やはり皆さんが選手を育てる。チームを強くする、その責任も皆さんにもありますよ。大いに悪いことは悪い、良いプレーしたら褒めてやる。そういう思いで選手を見つめてやってください。

 最後に選手諸君、コーチの皆さん、本当にこの4年間ありがとう。裏方さんにも本当にありがとう。社員の皆さん、こんなに素晴らしい最後のセレモニーを催してくださいまして、本当にありがとうございました。イーグルスの監督になって本当に良かった。最高に幸せな野球人生を送らせていただきました。また遠くから皆さんと共に彼らの目標をしっかりと応援してやりましょう。

 本当に皆さんありがとう。さようなら。

 おまけ

 「楽天・田中将大登場シーン、あとひとつ大合唱」

https://www.youtube.com/watch?v=yRfe7rOM1eE

 記事作成:10月26日(日)


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