皆さんは「ABBA」というグループを覚えているでしょうか。正式には1つ目のBをひっくり返して表記するが、1970年代に華々しくミュージックシーンを飾ったグループだ。日本では「サーカス」という兄弟、親類バンドが、彼らを手本とし、「和製ABBA」として活躍した時期もあったが、前者は紛れもなく新しいミュージックシーンとジャンルを切り開いた「時代の先駆者」だった。美しいハーモニーと一度聴いたら忘れない、リズミカルな旋律。ディスコミュージックにも使われた。私が彼らが奏でる名曲と出会ったのは、中学時代のことだったが、まるで脳天をかち割られるような強烈なインパクトがあったのは言うに及ばない。当時は、「ザ・ビートルズ」の電撃的な来日以降、洋楽が流行り、日本でも様々なGSブームが沸き起こった。その後、「ベイシティローラーズ」、「ローリングストーンズ」、ハードロック系の「KISS」、「クィーン」などがミュージックシーンを彩り、洋楽界の頂点に君臨した。本日取り上げる「ABBA」は、ハーモニー重視で、フォークデュオの「カーペンターズ」とともに、違う分野(ライトポップ調)での地位を確立したのだった。
では、彼らの残した足跡を振り返る意味で、彼らのプロフと私がお勧めする名曲を5曲紹介したい。たぶん、どこかで聴いたことがあるものばかりだと思う。
「ABBA」
ABBA(アバ)は、世界的に知られる、スウェーデンのミュージシャン男女4人グループである。1970年代半ばから1980年代初頭にかけて活躍した。マドンナやレディー・ガガなど多くのアーティストがABBAの影響を受けたと語っている。 1970年代には、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリア、日本での人気は絶大で、シングルとアルバムの総売り上げは3億7,000万枚を超え、世界で最も売れたアーティストに名を連ねている。
2010年に、ロックの殿堂入りを果たした。
1.Dancing Queen
1970年代のダンシングシーンには欠かせない曲だった。1976年、モントリオール五輪でコマネチ旋風が沸き起こった頃に流行した。個人的には彼らの作風は、1980年代に入って「ノーランズ」に引き継がれたと思っている。
2.Mamma Mia
最近まで「めざまし土曜日」の「Mamma Mia」というコーナーのBGMとして使われていたため、そのイメージのほうが強いかもしれないが、原曲は彼らが手掛けた。ちぐはぐそうな即想的なイントロ、軽快なメロディーに旅の情緒が掻き立てられそうな印象を受ける。異国ムード満載な不可思議なメロディラインが特徴。
3.Thank you for the music
この曲は、学生時代の英語の授業で聴かされ、歌詞が容易であったことから、初めて歌えた洋楽だった。1977年にリリースしたアルバム「The Album」の収録曲で、翌年のシングルの「イーグル」のB面の曲として、そして1983年にABBA最後のシングルとしてリリースされた。1977年のオーストラリアツアーで披露したミニミュージカル「The Girl with Golden Hair」の1曲でもある。 解散後の1992年にリリースされると世界中で爆発的にヒットし、現在もロングセラーのベスト・アルバム「ABBA GOLD」にも収録されている。劇団四季ミュージカル「マンマ・ミーア!」では、「音楽をありがとう」という邦題がつけられており、特別カーテンコールでも用いられる。
個人的には、スローダウン後の一気に盛り上げるサビの部分が気に入っている。
4.Chiquitita
1979年1月のリリースで、その年のUNICEFのチャリティ・イヴェントで使われ、世界的に広まり、最も有名なチャリティ・ソングの一つとなった。
chiquita(キチータ)
- "little"(スペイン語)
chiquitita(チキチータ) - "little girl"(スペイン語)
5.Gimme! Gimme! Gimme !
1979年のヒット曲。Gimme = Give meという意味なので、タイトルgive me a man after
midnight(真夜中に誰でもいいから男の人を私にちょうだい)ということになる。大胆にして露骨な表現だ。当時の世相を風刺しているようだ。さすがスウェーデン出身。
こちらも日本ではディスコミュージックとして一世を風靡した。ライトポップ調で何か迫りくるようなメロディラインが特徴的だった。イントロ部分も実にイカしている。
さて、振り返れば、彼らの曲の一つ一つに青春時代の想い出が染みついている気がする。あの曲を聴きながら、自分がしていたこと、悩んでいた時期、自分の位置や生き方が見つからずに葛藤していた頃、友人関係で悩み、部活で忙しかった時代、英語塾で好きな女の子と机を並べて勉強していた淡い想い出。今ではすべてが美しい。そんな若かりし日の出来事に寄り添っていたのは「ABBA」の名曲だった。彼らの登場により、新たな音楽が夜明けを迎え、やがてディスコサウンドが隆盛した。それを引き継いだのが「ドナサマー」、「ノーランズ」、「アラベスク」、「バナナラマ」、「Earth wind & fire」、「ジンギスカン」だった。今はもう35年以上も前のことなのに、決して色褪せることはないし、なぜか古臭さを感じない。それが洋楽の利点だし、永遠に心に残っていく要因だと思う。現にマドンナやレディ・ガガも彼らの影響を受けたと語っている。まさにライトポップのパイオニアだった。
さて、今回は1970年代サウンド代表する「ABBA」を取り上げたが、もっともっと紹介したいシンガーやグループは山ほどいる。いずれ時機を見て取り上げることもあると思う。
記事作成:6月18日(水)