なかなか堅そうなタイトルだが、実はそうではない。かつては芸人として活躍していた方、あるいはスポーツ選手だった方、はたまた水着モデルや歌手だった方が、どういう因果か180度も立場や存在も劇的に変わる政治家に転身した人が大勢いる。変わり身が早いというか、本当に政治を理解して、あるいは勉強した上で選挙に立ったのか甚だ疑問だ。一般的には、タレントや芸能人のネームバリュー(抜群の知名度)を利用しての一種の気まぐれのように映ってしまう。本当に強い決意で出馬したのか。あるいは本当に国民のために粉骨砕身で働く覚悟があるのか?そして問題山積の政治的課題に真摯に取り組むための資質や個々の思想や政治哲学はあるのか?その資質を含め、じっくり高みの見物をさせていただきたい。
それではテーマに沿って早速そうした方々(元芸能人・スポーツ選手→政治家)の覚悟と資質のほどを検証していきたい。まずは一芸能人が政治家へ華麗なる転身を遂げる前と後の姿について、それぞれの比較をまじまじと見てほしい。
山本太郎
ビフォー
「天才たけしの元気が出るテレビ」の名物コーナー「ダンス甲子園」で、江頭2:50並みに奇抜な格好で目立とう精神を発揮し、裸で踊り狂っていた。全身にペンキを塗りたくった意味不明の言動や行動で世間の関心を引こうと躍起になっていた。
アフター(それが今や参議院議員・・・)
国会議員としての資質の問題はあるように感じる。「田中正造」ばりに、天皇陛下に直接陳情の手紙を手渡したり、国会内を登山靴やスパッツで歩いたり、常識のない言動や振る舞いで「品位を下げている」と厳重注意を受けることしばし。小泉チルドレンだった杉村太蔵も今やお笑いタレント化してしまい、騙された感は否めない。国民はよくよく考えて国民の代表者たる議員を選んだほうがよさそうだ。他に立候補者を知らないだけで、いくら知名度が高い芸能人といえども、物珍しさや個性的で面白おかしければ票を投じるという基準は持たないほうがいい。
三原じゅん子
ビフォー(かつては三原順子として女優・歌手として活躍していた)
アフター(今は参議院議員として婦人問題や医療問題などに真摯に取り組んでいる)
私と同年代で、初期の「3年B組金八先生」に妙に大人びたツッパリ娘として出演。その後、「セクシーナイト」や「ドラム」など歌手としてデビューした。与党の一員として、政策に関して何事も一生懸命に取り組んでいる姿勢は評価できる。やはりテレビ慣れしており、物おじせず堂々と質疑しているし、緊張せず、持論を展開している。主義主張は明確で理路整然しているので、昔から政治家の資質は備わっていたのではないだろうか。
青島幸男
ビフォー
直木賞作家でありながら、ドラマ出演やお笑いなどのマルチタレントとして活動していた。「意地悪ばあさん」の実写版などにも出演していた。
http://www.youtube.com/watch?v=-UtQBXMibOo
アフター
鈴木俊一氏の勇退に伴い、参院議員を辞職し、東京都知事選に出馬して当選。第13代東京都知事に就任した。以降、石原慎太郎に譲るまで4年間、その座に君臨した。今見ても、政見放送でおちゃらけて歌を歌うなど、奇を衒ったおふざけ演説は異様だった。一時期、青島都知事と横山ノック大阪府知事という、日本の二大都市が異色の芸能人出の知事に都政や府政を委ねるという、ある意味「緊急事態」の状況下にあった。
横山ノック
ビフォー
かつては関西を中心に活動したお笑い芸人だった。「横山ノック・アウト」という漫才コンビで活動。その後、漫画トリオとして活躍。突っ込み役として上方漫才をけん引した。しかし、その後、参議院議員に出馬して当選。華麗なる転身を図った。
アフター
1995年に参議院議員を辞職し、大阪府知事選に出て当選。2期目の途中で、車中でのアルバイトの運動員に対する強制わいせつとセクハラ事件が発覚し、引責辞任に追い込まれた。しかしながら、大阪市民の信任を受けて、4年8か月もその座に座った。
アントニオ猪木
ビフォー
もちろん、ジャイアント馬場と共に、日本のプロレスの屋台骨を支えた名レスラー。「燃える闘魂」の愛称で、数々の名勝負を生んだ。新日本(ワールド)プロレスを主宰し、柔道家ウィリアム・ルスカ、ヘビー級王者だったモハメド・アリとの異種格闘技などを実現化し、プロレスの知名度を高めた功労者。「猪木ボンバイエ」の曲に合わせての入場シーンは語り草だった。
アフター
突如、国会議員に転身。抜群のネームバリューと存在感で、参議院議員に当選。当初はスポーツ友好を掲げていたが、突然に東京都知事選に出馬すると表明し、福田元首相に説得されて翻意して断念。その後も議員として活躍するが、無所属で国会の承認を得ぬまま北朝鮮を訪問し、懲罰動議が可決され、懲罰委員会で登院停止30日の処分を受ける。
今回はここまで。続きは明日の後編で掲載したい。劇的な環境変化である。芸能界から政界への転身はそんなに簡単なのかと疑問符がつくほどだ。政治の「せ」の字も知らぬ者でも、少しの「志」と「知名度」があれば、誰でもなれてしまう典型例だと思う。
さて、明日は後編をお送りするが、とっておきの5人をお送りするつもりだ。誰が取り上げられるか想像しながらお楽しみにどうぞ。
記事作成:2月1日(土)