今年もまた球児たちの夏がやって来た。この記事を書いているのが8月13日(日)であり、まさに連日白熱した好ゲームが展開されている。
幸いにして勝ったチームは、大観衆の面前で母校の校歌を歌うことが出来る。常連高校優勝を果たすチームは最大で6回も流れる。それゆえ、すっかりお馴染みとなり、観衆も共にくちづさむことが出来るほどだ。
かくいう私も次の学校の校歌は今でも歌える。
池田高校 「たたえよ池高、輝く池高、池高~池高~おお~われらが池高~」
PL学園 「ああPL~PL~永遠の学園~永遠の学園~」
横浜高校 「希望荒れ輝け横浜高校~横浜高校~」
今回、私が紹介したいのは、甲子園に出場した学校で、何とも風変りで風流な超個性溢れる校歌だ。歴史的に浅い新設校に多い現象だ。シャレてて記憶に残る。
至学館高校
校歌にタイトルがついているのを初めて見たし、初めて聞いた。その名は「夢追い人」
一番高い所に登って
一番光る星を掴んだ
一番辛い道を選んで
一番強い心をまとった
海を渡る風が吹いた
カシオペアが近くに見えた
夢を追い続けた
そしてここまで来た
でもどうしてかな
熱い涙が止まらない
うつむきかけた時
君の顔が見えた
差し出された白い腕が
翼に見えた
いろんなことを経験したね
あんまり先を急がないでね
いろんな人に巡り会えたね
そんな旅なら悪くはないさ
オリンポスの丘の上から
女神様の歌が聞こえた
夢を追い続ける
もっと遠くへ行く
でもどうしてかな
いつもみんなにいて欲しい
一番星よりも夏の星座が好き
君がいれば夜を越えて銀河になれる
健大高崎高校
Be together! Be together! Let's be together!
茜色の雲に向かって 空を行く 白い鳥の群れ
あの一羽 つぎの一羽も 翼に風をまとって羽ばたく
Be together! きらめく翼 支える風よ
Be together! 鳥を 彼方に 連れていってよ Wow wow...
あの風のように 君のココロに寄りそって飛べたら
ああ我らの健大高崎 高崎高校
いきなりの横文字。フォークソングを思わせる歌詞とメロディに新たな息吹を感じさせてくれる。新進気鋭という印象がふつふつと湧き上がる。
済美高校校歌
陽光(ひかり)の中にまぶしい笑顔
今 済美(ここ)にいるから出会えたね
共に学ぼう これからは
「やればできる」は魔法の合言葉
腕をとり 肩を組み
信じてみようよ
素晴らしい明日が展(あ)けるから
「やれば出来るは魔法の合言葉」は、上杉鷹山の「為せば為る為さねば為らぬ何事も為らぬは人の為さぬなりけり」を女子高生にもわかるよう象徴的に言い換えたものでしょう。
つまり、「やれば出来る」と信じ、「やれば出来る」を合言葉にして頑張れば、どんな夢でも魔法をかけたように必ず叶えることができるよ……と言っているのです。実際「創部3年以内で甲子園優勝」という魔法のような実績を挙げたのですから大したものですね。
明豊高校校歌
はるか果てしなく長いこの道
君はひとりで歩きつづける
暑い夏の日も冬の朝も
明日の光が見えない夜も
希望だけを支えに
未来を創る旅
夢をあきらめないで
勇気 自分を信じ
愛をその手で育てながら
南こうせつ作曲という異色の校歌だが、曲調も彼らしくオールフォーク調。こちらもタイトルがあって「明日への旅」という。メルヘンチックで青春を物語るのに相応しく、そのまま合唱曲として使えそう。しかも作詞はこうせつさんの奥さんの育代さん。そして極めつけは校歌を歌っているのが南こうせつご本人というオマケ付きだ。
ほかにも今年、甲子園に出場した日大山形の校歌も冒頭部分で「ボーイズビアンビシャス」で始まる意表を突く歌詞に驚いた。
例外だが、我が福島県代表の聖光学院は11年連続出場という最多連続記録を樹立したが、勝どき後の校歌斉唱で、ナイン同士が小指を繋いで声高らかに歌っているのをご存知だろうか?男同士気持ち悪いという意見もあったが、これはミッション特有で、斎藤智也監督曰く、「心をひとつに」という意味合いがあるそうだ。
さて、今は、こうした現代の若者ウケするような歌詞が描かれている。歴史と伝統をなおざりにされている気もしないではないが、世代が変わり、時代に迎合している感は否めないが、それが流行とか時代風潮なのだろう。
記事作成:8月13日(日)