このテーマでの記事は、2013年3月21日付にも同様の内容でお送りしたが、懲りずに見てほしいと思います。
「月9」はフジテレビが放つトレンディドラマシリーズであることは周知の事実だが、歴史は古く、1962年に30分枠のドラマとしてスタートし、その後、番組改編でバラエティ(欽ドン!)や「ミュージックフェア」などの音楽系番組を放送。そして、1987年4月からドラマ枠として復活。『アナウンサーぷっつん物語』以降、若年層をターゲットにした作品を中心に、マスコミ業界(業界ドラマシリーズ)を舞台にしたもの、学園ドラマ、トレンディドラマなど製作し、「トレンディ」ブームの火付け役となった。
月9ブームの火付け役となった1991年の『東京ラブストーリー』は、最終回視聴率32.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区。以下同じ)記録し、同年の『101回目のプロポーズ』でも35.7%を記録。また、1993年の『ひとつ屋根の下』は、フジテレビの連続ドラマ史上最高の37.8%を記録した。その後も『あすなろ白書』や『ロングバケーション』、『ラブジェネレーション』などの高視聴率ドラマを連発し、現在の「月9」ドラマの地位を確立した。そして「月9」の主題歌に使われた曲は、決まって大ヒットに結びついた。
2000年以降は、いずれもジャニーズ事務所所属の今が旬の若手俳優を起用し、ことごとく高視聴率を記録した。11話完結、放送は3ヶ月で終了となるため、年に4回放送される。もっとも出演回数が多いのは、男優では、木村拓哉で、ついで福山雅治、竹野内豊、香取慎吾、三上博史、江口洋介、織田裕二、柳葉敏郎。彼らはおなじみの面々。女性では、中山美穂、小泉今日子、竹内裕子、松たか子が定石。
では1990年以降で、月9ドラマが高視聴率を独占し、隆盛した2010年までの約20年間で、どんなドラマがあったか変遷を一覧で見てみたい。
1990年
世界で一番君が好き!・・・浅野温子、三上博史
日本一のカッ飛び男・・・田原俊彦
キモチいい恋したい!・・・安田成美
すてきな片想い・・・中山美穂、柳葉敏郎、石黒賢
1991年
東京ラブストーリー・・・鈴木保奈美、織田裕二、江口洋介、有森也実
学校へ行こう!・・・浅野ゆう子
101回目のプロポーズ・・・浅野温子、武田鉄矢
逢いたい時にあなたはいない・・・中山美穂
1992年
あなただけ見えない・・・三上博史、小泉今日子
素顔のままで・・・安田成美、中森明菜
君のためにできること・・・吉田栄作、石田ゆり子
二十歳の約束・・・牧瀬里穂、稲垣吾郎
1993年
あの日に帰りたい・・・菊池桃子、工藤静香
ひとつ屋根の下・・・江口洋介、福山雅治
じゃじゃ馬ならし・・・中井貴一、観月ありさ
あすなろ白書・・・石田ひかり、筒井道隆、木村拓哉
1994年
この世の果て・・・鈴木保奈美、三上博史
上を向いて歩こう!・・・西田ひかる、舘ひろし
君といた夏・・・筒井道隆
妹よ・・・和久井映見、唐沢寿明、岸谷吾朗、鶴田真由
1995年
For You・・・中山美穂、高橋克典、香取慎吾
僕らに愛を!・・・江口洋介、鈴木杏樹、武田真治
いつかまた逢える・・・福山雅治、桜井幸子
まだ恋は始まらない・・・小泉今日子、中井貴一
1996年
ピュア・・・和久井映見、堤真一、高橋克典
ロングバケーション・・・木村拓哉、山口智子
翼をください!・・・内田有紀、反町隆史、水野美紀
おいしい関係・・・中山美穂、唐沢寿明、飯島直子
1997年
バージンロード・・・和久井映見、反町隆史
ひとつ屋根の下・・・江口洋介、福山雅治
ビーチボーイズ・・・反町隆史、竹野内豊、広末涼子
ラブジェネレーション・・・木村拓哉、松たか子
1998年
Days・・・長瀬智也、中谷美紀、金子賢、菅野美穂
ブラザーズ・・・中居正広、木村佳乃、岸谷吾朗
ボーイハント・・・観月ありさ、瀬戸朝香、いしだ壱成、華原朋美
じんべい・・・田村正和、松たか子、草彅剛
1999年
Over Time・・・反町隆史、江角マキ子
リップスティック・・・三上博史、広末涼子、いしだ壱成
パーフェクトラブ!・・・福山雅治、木村佳乃、ユースケサンタマリア
氷の世界・・・竹野内豊、松嶋菜々子
2000年
二千年の恋・・・中山美穂、金城武
天気予報の恋人・・・佐藤浩市、稲森いずみ、深津絵里
バスストップ・・・飯島直子、内村光良
やまとなでしこ・・・松嶋菜々子、堤真一、矢田亜希子
2001年
HERO・・・木村拓哉、小日向文世、松たか子
ラブ・レボリューション・・・江角マコ子、米倉涼子、藤木直人
できちゃった結婚・・・竹野内豊、広末涼子
アンティーク~西洋骨董洋菓子店・・・滝沢秀明、椎名結平、藤木直人、小雪
2002年
人にやさしく・・・香取慎吾、松岡充、星野真里、加藤浩次
空から降る一億の星・・・明石家さんま、木村拓哉
ランチの女王・・・竹内結子、妻夫木聡、伊東美咲、山下智久
ホーム&アウェイ・・・中山美穂、西田尚美、酒井若菜
2003年
いつもふたりで・・・松たか子、坂口憲二
東京ラブ・シネマ・・・江口洋介、財前直見、宮迫博之
僕だけのマドンナ・・・滝沢秀明、長谷川京子、小西真奈美、島谷ひとみ
ビギナー・・・ミムラ、オダギリ・ジョー
2004年
プライド・・・木村拓哉、竹内結子、坂口憲二
愛し君へ・・・菅野美穂、藤木直人
東京湾景~Destiny of Love~・・・仲間由紀恵、和田聰宏、佐藤隆太
ラストクリスマス・・・織田裕二、矢田亜希子、玉木宏
2005年
不機嫌なジーン・・・竹内結子、内野聖陽
エンジン・・・木村拓哉、小雪、堺雅人
スローダンス・・・妻夫木聡、深津絵里
危険なアネキ・・・伊東美咲、森山未来
2006年
西遊記・・・香取慎吾、深津絵里、内村光良、伊藤敦史
トップキャスター・・・天海祐希、矢田亜希子、玉木宏
サプリ・・・伊東美咲、亀梨和也、瑛太
のだめカンタービレ・・・上野樹里、玉木宏
ファースト・キス・・・井上真央、伊藤英明、夏木マリ
ガリレオ(第1シリーズ)・・・福山雅治、柴咲コウ、吉高由里子、北村一輝
2008年
薔薇のない花屋・・・香取慎吾、竹内結子、釈由美子
CHANGE・・・木村拓哉、深津絵里、寺尾聰
太陽と海の教室・・・織田裕二、北川景子、岡田将生
イノセント・ラブ・・・堀北真希、北川悠仁、香椎由宇
2009年
ヴォイス~命なき者の声~・・・瑛太、石原さとみ、生田斗真
婚カツ!・・・中居正広、上戸彩、佐藤隆太
ブザービート~崖っぷちのヒーロー~・・・山下智久、北川景子、相武紗季
東京DOGS・・・小栗旬、吉高由里子、水嶋ヒロ
2010年
コード・ブルー〜ドクターヘリ緊急救命The 2nd season・・・山下智久、新垣結衣、戸田恵 梨香
月の恋人〜Moon Lovers〜・・・木村拓哉、篠原涼子、リン・チーリン
夏の恋は虹色に輝く・・・松本潤、竹内結子
流れ星・・・竹野内豊、上戸彩
この一覧を見ただけで、一世を風靡したフジテレビの「月9ドラマ」で、複数回主演していた俳優や女優が、まさにその時代をときめくトレンディー俳優だったといえる。90年代は圧倒的に中山美穂が主演する回数が群を抜いていた。2000年以降は木村拓哉や竹野内豊、女優は竹内結子が圧倒していた。そしてこれらのストーリーを見て、お手本として実際の恋愛に役立てていた若者が多いに違いない。
しかしながら、2002年以降、韓流ブームの到来と共に、それに各テレビ局が便乗するかのように、特にBSでは韓国ドラマがテレビ番組欄を埋め尽くす事態が続いている。特に50代以上の方々には、どこか郷愁を誘い、昔の日本の純愛路線を懐かしんで視聴する傾向が強い。確かに私も「冬ソナ」の大ファンだが、ワールドカップ日韓共催で盛り上がった両国の友好ムードも徐々に薄れ、韓国側の一方的な日本叩きにより、険悪な状態に逆戻りつつある。それは中国もそうだが、未だに80年も昔の戦争責任や従軍慰安婦問題、靖国参拝問題がくすぶり続け、反日感情が渦巻いているからにほかならない。
私は21世紀の今でも過去の因縁にとらわれ、遺恨を残し続けることに両国間の明るい未来はないと考えている。先日、エノラゲイの最後の乗組員が死去した。彼は「人を殺さない戦争などありえない」と語った。今後も北朝鮮を中心に様々な危機的状況が起きるとみている。
話がそれたが、韓国ドラマに席巻されたため、フジテレビは「月9」ドラマがこの10年近くは視聴率低迷に陥ったと思っている。「アンチフジ」に走った日本人がいかに多いことか。フジテレビは真摯に受け止め、路線を1990年代に戻すべきだと思う。
最後に、私自身も若かりし頃、恋愛バイブルとして見ていた「月9」だが、私が好きだったベスト5を紹介して結びとしたい。
1位 東京ラブストーリー
2位 すてきな片想い
3位 君の瞳をタイホする!
4位 世界で一番君が好き!
5位 君のためにできること
記事作成:7月24日(木)