毎年、新卒者の就職解禁前のこの時期に「マイナビ」が調査している「就職人気企業ランキング」が今年も発表された。調査は17年卒業予定の全国の大学4年生と大学院生を対象に3~4月に実施。回答数は約34,000人。
では文系と理系に分けて、今年の順位と、過去2年間の分の合わせて3年分を掲載したい。
文系 2016年 2015年 2014年
1位 JTBグループ JTBグループ JTBグループ
2位 全日本空輸 H.I.S 全日本空輸
3位 H.I.S 全日本空輸 H.I.S
4位 日本航空 日本航空 電通
5位 三菱東京UFJ 三菱東京UFJ 三菱東京UFJ
6位 東京海上日動火災 電通 オリエンタルランド
7位 三井住友銀行 三井住友銀行 JR東日本
8位 電通 みずほフィナンシャル JAL
9位 博報堂 博報堂 Plan・Do・See
10位 みずほフィナンシャル 東京海上日動火災 東京海上日動火災保険
興味深いのは、昨年と同一の企業が今年もすべてベスト10にランクインしている点。
文系は自ずと女性が多い分野。その花形といわれるのが旅行業界と運輸サービス分野。バブル景気で金融業界が隆盛していた頃は、銀行や保険、証券系が強かった。メガバンク系や東京海上火災(当時)などは毎年1位をキープしていた。
一方、男子は「三井物産」、「三菱商事」、「伊藤忠商事」などを始めとした総合商社と広告代理店が人気を誇った時期もあった。1990年代から2000年代初頭は、IT関連業界も時代の寵児としての地位を確立した。
このように時代の変遷と共に、あるいは産業の繁栄よ7と共に、人気企業も移り変わっている。企業側からすれば、優秀な人材を確保するために、このようなランキングは見過ごすことは出来ない。もちろん、業績が上がり、株価が安定している会社は人気が出て当然だ。
理系 2016年 2015年 2014年
1位 味の素 トヨタ自動車 JR東日本
2位 JR東日本 味の素 カゴメ
3位 資生堂 カゴメ・明治グループ 旭化成グループ
4位 トヨタ自動車 - 資生堂
5位 サントリーHD 資生堂 明治グループ
6位 カゴメ JR東日本 味の素
7位 明治グループ サントリーHD トヨタ自動車
8位 NTTデータ キリン 三菱重工業
9位 山崎製パン 三菱電機 東芝
10位 ソニー 日立製作所 NTTデータ
大卒者は、金をかけて4年間を過ごしただけあって、元を取ろという腹なのか、超一流企業への就職を希望する学生が目立つ。見境なく、ネームバリューだけを有り難がって30社以上も会社回りをしても、いまだに内定ひとつ貰えない残念な学生がいる。しかし、冷静に今の社会情勢を見渡せば大企業だからといって安心していられない時代だ。「東芝」はもはや台湾の企業に支援を申し出て、なんとか再建を目指す状態だし、液晶パネルで一世を風靡した「シャープ」も亀山工場を閉鎖する。福島県内にあった大企業の工場(「京セラ棚倉」・「富士通会津」など)も撤退を余儀なくされた。
人気企業だけを狙ったところで、時代の流れにそぐわない業種はどんどん切り捨てられる。大手企業だから安心という時代ではもはやない。過去、どれだけの企業が吸収や統合、あるいは事業縮小、リストラで不景気を乗り切って来たかをみれば一目瞭然。絶対に潰れないと言われた銀行を始め、証券会社や保険などの金融関連業種も合併を繰り返して今に至る。
大学生には、安易に転職を考えるのではなく、一生を捧げる意図で会社選びを慎重にやってほしい。地方は再就職は相当厳しい。手に職をつけられる理系は有利だが、文系はサービス業や厳しいノルマを課せられる営業が圧倒的に多い。コミュニケーション力をつけ、語学力を身に着けて、グローバルな視野で物事を見、判断できる力を養いたい。
記事作成:5月12日(木)