おことわり
この記事は1年4か月前の平成25年10月に執筆を開始しましたが、公開が遅れてしまいました。すでに3月末日分までの記事が完成していることから、直近の話題を先に掲載したために、このように公開日が遅くなりました。時候がズレている部分もありますが、そのまま掲載したいと思います。ご了承ください。
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私は今年、勤務26年を迎える社会人でありながら、一方で「慶應義塾大学法学部」に身を置く学生でもある。二足のわらじは容易ならざることだが、それでも未知のものに首を突っ込み、問題解決の一助になればとの思いで、苦学してやっている。法律を学ぶと、自ずと社会に仕組みがわかるもので、逆に知らないと無知が故に、知らず知らず法規を破り、思わぬ犯罪に手を染めてしまうことがある。今日はそれをテーマにしたい。特に力説したいのは、個人情報保護法に関する条項や、軽犯罪法という分野だ。日常生活に最も密着しているこの法律で、情報網が確立されていないために、一般に認識が普及せず、意外にも知られていない範疇である。普段の生活で、何気なくしていることでも、実際は法律違反で、下手すると摘発や逮捕などということもあり得るということを例証したい。
1 料理に使われるお酒や糠漬け、酒粕で酒気帯び運転
「教えてgoo」ヤフー知恵袋に掲載されていた疑問でなるほどと思った。それは以下の内容だった。
昨今、飲酒運転が問題となっています。明日、車でレストランへ行きます。もちろんお酒を飲む気はありませんが、一品、ワイン添えの(=隠し味としてワインが使われている)料理があるようですが、これを食べた直後車を運転するのもいけないのでしょうか?
他にも、ブランデーの入ったチョコレート等を食べてから運転するのもいけないのでしょうか?
一般の方の回答はこちら
回答1
規定値0.15mg以上の値が出れば間違いなく検挙されます。酒を飲もうが食べ物から摂取しようが数字でのみ判断されます。食事でアルコールを使うものもありますが、注意が必要です。普通の量なら通常なら問題ないものでも、事故を起こしたときは規定値以下でも問題視される場合があります。
ブランデーの入ったチョコレートでも人によって反応が違います。規定値以下ならアルコールを摂取して運転して良いというわけではありません。
回答2
ノンアルコールビールでも1%以下で入っていますので、多量に飲むと酒気帯びや飲酒運転になります。以前にはブランデーの入ったチョコレート(ウイスキーボンボン)や、栄養ドリンクで飲酒運転になったと聞いた事があります。
また、お酒といえば、昨年、小樽の海水浴場近くのアクセス道路で、RV車が海水浴帰りの歩行者を次々跳ね、死亡させる事故が起きた。この運転手は狭い道路を100キロもの猛スピードで走行していただけでなく、運転中にスマホ操作により、前方不注意、加えて、海水浴中の飲酒が発覚した。当然、業務上過失致死で逮捕された。私はより罪が重い危険運転致死罪の適用でも良かったと思っているが、この運転手は免職などの社会的制裁を受けるのは必然で、法の裁きを受け、交通刑務所行きとなるだろう。損害賠償も多額に上り、少しの油断が取り返しのつかない、人生が変わってしまうほどの事態を招いた。
私は常々思っていたのは、行楽地や海、スキー場では、飲酒がつき物で、ドライバーだ
けが飲まないとは限らない。たぶん、多くが飲酒しており、数時間後には、アルコールが抜けたと判断し、ハンドルを握っているような気がする。私20代の頃から通産200回以上もスキーに出向いているが、飲酒してゲレンデを滑走したことは一度も無い。飲酒しての激しいスポーツは心臓に負担がかかるだけでなく、脳疾患の原因にもなるからだ。まして飲酒しての海での遊泳はもってのほか。溺死する危険は高い。
ところで、私はこうした行楽地付近で、飲酒検問を実施したら、芋づる式に検挙されるドライバーが数多く出ると予想している。しかし、昼夜を問わず、一度もそうした場面に出くわした経験が無い。レジャーでのそうした取り締まりは、バカンス気分に水を差すと警察も考えているのだろうか。スピードや携帯使用、一時停止不履行など、他の違反で検挙され、酒気帯びが疑われて検査されて発覚する場合はあるかもしれないが、それを狙い撃ちするケースはめったに見ないのが実情だ。
2 公共(占有)離脱物横領
これは実生活で誰にでも起こり得る犯罪例。私の住む都市では、火曜日と金曜日が燃えるゴミで、月曜日が資源物、水曜日が燃えないごみの回収日となっている。しかし、毎朝、私が通勤がてらゴミ捨てに集積所に行くと、決まって町内のオバさんが集積場を漁っている場面に出くわす。特に燃えないゴミの日に、捨ててあるゴミの中から金目の物を物色している光景に出くわすのだ。たぶん、捨てた本人は、処分に困って捨てているので、それを見知らぬ誰かが持って行ったとしても一向に構わないだろうと誰もが思う。
しかし、これも立派な犯罪らしい。「公共離脱物横領」という罪だ。捨ててあるゴミを持って帰るのだから誰にも迷惑をかけていないのだと思う。こういう場合、被害者はいない訳で、親告罪として成立しない。被害者無き犯罪の筈で、ゴミを減らしてくれるこの行為は、むしろ感謝されて然るべきではないのか。不要なものをリサイクルする業者もあるのだから、ゴミを持って帰って何が悪いという感じを受ける。しかし、法律は不可解で、正規のルートを介して処分しなければ、気分が悪いらしい。行政の手間が省けるという発想ではなく、最後までその地区で出たゴミは当該地区で処分するという考え方らしい。
占有離脱物横領罪の罰則は刑法254条に記載され、「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」とある。可能性として懲役がありえるのが怖いですが、前科などがなければまず罰金で終わる軽犯罪である。ましてそれがゴミ捨て場にあったとなれば、調書作成で済まされることが多い罪らしい。
3 親の財布からお金を抜き取る罪
小遣いに困り、ついつい親の財布から現金を拝借してしまった場合でも、親が訴えれば、親告とみなし、盗んだ子供は窃盗罪に問われることになる。でも自分の子供がやったとわかれば、子供を犯罪者にしたい親はいないと思われるので、実際は、厳重注意で済まされることが多い。
4 狙い撃ちの交通取り締まり
毎年、速度違反や信号無視、駐車違反、一時停止無視などがもっとも多い違反だ。オービスやステルス一斉ねずみ捕り、PCレーダーによる摘発、白バイや覆面パトの追尾による計測、飲酒や酒気帯びの検問などなど。しかし、最近は、交差点や交番前に警官が立ち、シートベルト未着用や携帯使用に目を光らせている。交通違反は重大な事故に直結するだけに、走る凶器たる車は、扱いを一歩誤れば、人の人生をも狂わせてしまう代物である。そのため、是が非でもある程度の取締りは必要不可欠のものとなる。しかしながら、国家公安委員長の鶴の一声で、これまでの速度取り締まりのやり方に一石が投じられた。見通しの良い片側2車線道路で、50km/hの速度制限を設けている現在の安全基準は現状にそぐわないというものだ。道路交通法では、取り締まる側に「道路交通法施行規則」というのがあって、その基準に基づいて取締りが実施される。中には点数稼ぎでやみくもに善良なドライバーにまで魔の手を伸ばす不届き警官もいるようだが。
また、道路交通法や道路運送車両法は厳格に適用すれば、大多数のドライバーが違反で摘発されてしまう。以下例を挙げる。
① 夜間のライト点灯はハイビームが原則。ロービームにするのは対向車とすれ違う際に眩しくさせないための配慮時のみ。
*ロービーム・ハイビームの規定に関して、「違反にならない」し、「罰則規定もない」旨のコメントが寄せられたので、補足します。
道路運送車両法では、ハイビーム(上向き)を「走行用前照灯」、ロービーム(下向き)を「すれ違い用前照灯」と呼び、通常走行時は走行用前照灯を使用することとされています。
しかし、道交法には「ハイ&ロー」という明確な表記がないために、違反にならないと思っているドライバーが多いし、こうした難しい法律用語にも問題があると思います。
では違反になると記載した根拠はどこにあるかという点については以下の通りです。
道路交通法第五十二条では、原則的にハイビームを使用し、対向車がいる場合や、前を走る車がいる場合には、運転の妨げにならないように減光するよう定められています。ヘッドライトは、ハイビームこそが通常モードで、ロービームは減光モードということになります。また、逆に減光を怠った場合も違反となります。
街灯がある比較的明るい道路でも、対向車や先行車がいなければ、基本はハイビームが正しいということになります。出典→http://www.jaf.or.jp/qa/ecosafety/careful/31.htm
の9第2項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車
幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間
以外の時間にあつても、同様とする。
【令】第19条
第2項 過失により前項第3号、第4号、第5号、第8号、第8号の2又は第14号の罪を犯した者は、5万円以下の罰金に処する。
100m前方視認可能な「走行用前照灯:ハイビーム」と すれ違い時に使用する40m前方視認可能な「すれ違い前照灯:ロービーム」の設置が義務づけられています。
当然、対向車の無い夜間走行には「走行用前照灯」の点灯が義務であり、対向車がある場合は「すれ違い前照灯」に切り替える事も定められているのです。
最近各県の警察が運転者に対して、夜間走行時は原則ハイビームであることを周知徹底して習慣づけるための、「夜間ハイビーム実践運動」を行っています。
② 高速道路の追い越し車線を走り続ける
高速道路の一番右側のレーンは追い越し車線です。前の車を追い越したいときなどに、このレーンに入りますが、実はここをずっと走り続けるのは違反になるのです。というのも、あくまでここは「追い越しをするための車線」で、普通に走行するのなら一般レーンに戻らないといけないのです。道路交通法の第3章 第20条の違反になってしまいます。
③ 雪道をノーマルタイヤで走行
雪の降るこの時期。普段あまり雪の降らない地域でも積もることがあります。そんなときに多いのが、「大丈夫」といってノーマルタイヤそのままで雪道を走る人。実はこれは「運転者の遵守事項」の違反になります。各自治体によって「運転者の遵守事項」に基づいた雪道の交通ルールが定められているのです。
④ 自転車の違反
傘さし運転、右側通行(逆走)、歩道走行、並列走行、ヘッドフォンで音楽を聴きながらの走行、走行中の携帯操作、自転車の二人乗り(チャイルドシートなど設置時は除く)、信号無視、斜め横断、夜間の無灯火、酒気帯び、飲酒運転などはすべて違反。一回目は注意で済まされるものもあるが、二度目はないと心得たほうがよさそうだ。間違っても警官に停止を求められて、歯向かったり、逃走してはならない。余計罪が重くなる。
⑤ クラクションをむやみやたらに鳴らすのは違反。道を譲ってくれた際に、感謝の意を込めて「プッ」とやりたがるが、これはダメ。また、ハザードランプで感謝を示すのも道交法54条2項違反。
5 NHK受信料 不公平感
私が常々不公平に感じていることがある。現在、日本の一般家庭のテレビ普及率は99%を越える。よって、テレビが自宅に無い家庭は無に等しい。しかし、テレビ所有者に義務付けているNHKの受信料だが、2013年9月現在の支払い率は72.5%。全体の4分の3にとどまっている。つまり4人に1人は未納であったり、支払う意思がなかったり、滞納しているということになる。正規の契約をし、まじめに支払っている者がいる中で、知らぬ存ぜぬで未払いでいる輩がいるのも事実。年間にすれば衛星契約している家庭は月々2,230円で、年間に直すと実に24,770円の差が出る。これを10年間見続ければ25万円もの大差。これは明らかに不平等で、正直者が馬鹿を見る現状がある。
おそらくは、ごね得や逃げ得を貫いている不届き者は以下の法律を知らないと思われる。
【放送法第64条(受信契約及び受信料)】の第1項
"協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信について契約をしなければならない"という法令を根拠にしています。
受信設備とは、現在は地デジ対応のTV、ワンセグ受信可能の携帯電話、パソコンなどがこれにあたります。したがって、受信設備を持っている場合、NHKと受信契約をしてNHKの受信料を払わなければならないのです。
しかしながら、NHKも未払い問題が深刻化し、裁判に訴えるケースが出た。2014年9月に出た判決はこうだ。
「受信料債権の時効は5年」の判決が、ついに最高裁判所で確定。
NHKはこれまで、高裁レベルで何度も「5年で時効」の判決が出されていたにも関わらず、しつこく長期滞納者に対して10年分の受信料を請求し続けていましたが、今回、最高裁で「時効5年」が確定したことを受け、今後は法廷で時効10年を主張することはできなくなりました。
つまり、飲み屋のツケが1年間催促や請求をしないと無効になってしまう理不尽な事例と同様、NHKの集金係がしつこく催促しなければ5年でチャラになるというのだ。督促状の郵送代だって有料。その切手代を善良な支払い者の徴収額から支払われているとしたら、ますます腹立たしく思う。
私は口座振替にしているので、このようなトラブルなく、その時期が来れば自動で引き落とされている。つまり、払わなくてお咎めなしならば、不公平感は増幅するばかりで、馬鹿正直に年間数万円も支払っている自分が空しくなる。しかも、NHKの番組はほとんど視聴していない。果たしてこれでいいのか?
また、素朴な疑問だが、一世帯に複数のテレビを所有している場合やカーテレビを備えている場合には、新たに受信料を徴収されるのかということだ。
これはNHKの公式HPに解説が掲載されてあった。
放送受信契約の単位という項がそれで、「放送受信契約は世帯ごとに結んでいただきます」。「世帯」とは、「住居」と「生計」をともにする方々の集まり、または、独立して「住居」もしくは「生計」を維持する単身の方をいいます。「ひとつの住居に複数台テレビがあっても、受信契約はひとつで構いません」。自家用車にテレビがあっても、住居の一部とみなします。一世帯でマンションなどの複数の部屋をお持ちの場合も、同じ棟であればひとつの住居とみなします。
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/about_2.html
6 脱法ハーブ(危険ドラッグと改称)はなぜ違法にならないのか。
若者の5人にひとりが使ったことがあるという脱法ハーブ。法律違反にならないからといって急速に普及している。特に、東京・神奈川・大阪・福岡などの大都市圏で蔓延していると聞くから恐ろしい。この脱法ハーブ、覚せい剤や大麻など違法薬物に指定されていない。だから一時の快楽や幻覚症状など刺激を求めて吸引するケースが後を絶たない。しかし、近年、これを服用したばかりに、意識が朦朧とした状態で自動車等を運転し、歩道を歩く歩行者をはね飛ばし、死に至らしめる交通事故や殺人行為が多くなっている。なのに、正常な判断能力がなかったといって法に問われないケースがあることに二度驚かせる。本人が百も承知で脱法ハーブに手を染め、それが原因でこのような重大事故や事件を引き起こしているにもかかわらず、法に問えず、無罪放免となったらなら、無実で事故に巻き込まれて命を失った被害者はどうなるのか。法の不備や盲点をかいくぐって悪の道に進んだ張本人が罰せられない法とはなんと無駄なことか。死んでも死にきれない。
おことわり
この記事が公開される頃は、すでに違法扱いで罰則規定が設けられているかもしれません。
今回は、上記のような内容でお送りした。何気ない日常生活の中にも危険がはらんでいる。慢心や油断が人生を狂わせるような状況に陥る。取り越し苦労や疑心暗鬼で生活する必要はないが、事故や事件が起きてから反省しても「後の祭り」。そして「後悔先立たず」。時々こうした事例をモデルケースとして自戒の念や自己啓発、啓蒙に役立てて貰えたら幸いです。なお、このテーマは、今後も不定期ながら継続してみたいと考えている。
記事作成:平成25年10月27日(日)~平成26年9月20日(土)