本日は、手前味噌だが、V3を決めた巨人の選手のファインプレーを中心に取り上げたい。巨人というチームは昔から、補殺や挟殺プレーが大の苦手。盗塁はされ放題だったし、抜群の中継プレーや強肩で走者をタッチアウトにした場面を滅多に目にした記憶がない。守備には昔から難点があったように思える。そんな数少ない美守を膨大な量の「YouTube」の映像から探し出すのも大変な作業だったが、これぞプロの技」と呼べるようなシーンを集めてみた。
1 「赤星も絶賛、鈴木尚広の芸術的走塁」
足のスペシャリストの鈴木。我が福島県出身で故郷の宝だ。彼が代走で起用されれば、簡単に進塁してしまいそう。相手投手にとってこれほど脅威の選手はいない。彼が凄いのは、その俊足を最大限生かしたベースランニング。すでに35歳を過ぎていながら日々のトレーニングを怠らない。最短距離でベース間を疾風の如く走り抜ける。隙あらば虎視眈々と次の塁を陥れる。同じ俊足で外野手だった赤星ですら舌を巻く走り。3塁上にいれば、ボテボテの内野ゴロでも生還できるし、スクイズ、パスボール、外野フライでも得点できるバリエーションが増える。ぜひ手本にしてほしい。
鈴木神的走塁・盗塁集
日本シリーズで松坂の西武との大一番での決勝点を挙げた俊足ぶりは見事。
鈴木尚広、神の手サヨナラホームイン アウトのタイミングをセーフにする男
2014年07月15日 橋本到タイムリー、鈴木尚広の神の手ホームイン!
本当にホームインできているのか? 巨人ファンも半信半疑でいる中、ヒーローインタビュー中にスロービデオが。。。鳥肌も
ワイルドピッチで隙を突き生還する芸術的走塁
https://www.youtube.com/watch?v=HDGm3r74uCo
坂本のフェンスダイレクト打で一塁からホームへ生還する驚異の足
https://www.youtube.com/watch?v=24ucZmKmlZU
鈴木ひとりの力でもぎとった決勝点
https://www.youtube.com/watch?v=useo3dluqoQ
守備だってホラ、この通り!
http://www.youtube.com/watch?v=CONfZuSnvqQ
今年の巨人の優勝の立役者は間違いなく「鈴木尚広」。代走出場や守備固めでの起用がほとんどだが、出番があれば、精一杯自分の仕事に徹し、結果を出す。35歳を超えた今でも日々のトレーニングは怠らない。彼の不断の努力は若手の手本であり、チームの活性剤になっているのは間違いない。
玄人記者による投票で決まるその年のMVP。おそらくは菅野投手が受賞するだろうが、打率3割が不在の今年の巨人にあって、私が考えるMVPは間違いなく彼である。
2 「亀井の強肩に解説者も唸る」
https://www.youtube.com/watch?v=iqyJ85bAjes
http://www.youtube.com/watch?v=6NvS1zBZjJM
http://www.youtube.com/watch?v=PJ2MlKnIIbg
http://www.youtube.com/watch?v=m_Q75wmJo70
亀井は打者としても優れているが、これだけ強肩のライトがいたら、ツーベースをシングルに変えてしまう。投手にとってこれほど心強いことはない。エリア51と呼ばれたイチローや頭脳プレーが光る新庄、好打者の糸井もそうだった。そして最近は160キロ投手の大谷がここを守れば、鬼に金棒。3塁ランナーのタッチアップだって阻止できる。自重するランナーが出るだろう。
3 「松本哲也の驚異のワンバン打法」
攻守の松本
https://www.youtube.com/watch?v=ibkBVYaGz9o (解説者・工藤が大絶賛のプレー)
http://www.youtube.com/watch?v=-zv30WuNUGo (埋め込み処理禁止)
http://www.youtube.com/watch?v=5wA96mIvLWg (背走してジャンピングキャッチ)
https://www.youtube.com/watch?v=uDChWHlg-aU (変化する打球にダイビング)
攻走守三拍子そろった選手は名選手である。例えば、福本豊、秋山幸二、イチローなどがそうだ。巨人では小柄ながらその素質十分なのが松本だ。彼は、例えバッティングが振るわなくてもその俊足で広い守備範囲を活かして守り固めでも使えるし、代走でもばっちりだ。層の厚い巨人にいるせいで出番が少ないが、他チームでは間違いなく一番センターを定位置を約束されている。彼のようなねちっこく投手から嫌がられるような選手はめっきり少なくなっただけに希少だ。
偽装スクイズ
日本シリーズで巨人と日本ハムが対戦した時に、巨人の攻撃で、大勢を決する大事な局面で原監督が偽装スクイズを命じた。1死1・3塁の場面で、打者は巧者木村拓也。スクイズと見せかけ、1塁ランナーがスタート。木村はスクイズ失敗のように見せかけてわざとバットにボールを当てなかった。もちろん空振りをとられたが、3塁ランナーはスタートを切らず、まんまと1塁ランナーは2塁へ進塁成功。これはダブルプレー阻止を狙った高等技術だが、日本シリーズという大舞台でこれを実践し、成功させた原采配は見事だった。しかしながら、この試合を解説していた野村克也はやはりB型典型。「やる方もやる 方だが、やられる方も情けない」と切り捨てた。自分自身のやることがすべて正しいと思っていて、他人がいくら功績があっても絶対に認めようとしない。B型は自分が一番好きで可愛いと思っているため、他人のやることにはケチをつけたくて仕方ない。
B型批判はこれくらいにして、残念ながらこの場面の動画映像は削除されて残っていない。そこで場面はまったく違うが、西武時代の伊原監督が「偽装スクイズ」を仕掛け、成功した映像があったので、これで代用したい。
巨人びいきはこれくらいにし、後はタイトルが示すように「これぞプロ中のプロ」と叫びたくなる名場面をお送りしたい。
4 「球史に残るホームラン!」
1985年4月17日 バックスクリーン3連発 R・バース 掛布雅之 岡田彰布
1993年5月3日 ゴジラの底力 松井秀喜
1999年7月6日 平成の怪物vs安打製造器 松坂大輔 イチロー
~球界の番長 清原和博~
2002年10月26日 松坂大輔
平成の名勝負 野茂英雄
1987年7月28日 オールスター戦 桑田真澄
~助っ人外国人編~
1989年10月12日 ブライアント(近鉄) 1試合3HR
2001年9月24日 T・ローズ(近鉄) シーズン55HR
2002年10月2日 A・カブレラ(西武)シーズン55HR
2013年9月15日 W・バレンティン(ヤクルト)シーズン56HR
2008年5月7日
金本知憲デッドボールの直後...
2000年9月24日
長嶋茂雄 初めて東京ドームにで舞う
2001年9月26日
代打逆転サヨナラ満塁HR 北川博敏(近鉄)
~現役最後のアーチ~
1995年10月8日 原辰徳(讀賣)
2013年10月8日 小池正晃(横浜)
1987年10月29日 中畑清(讀賣)
2013日10月13日 桧山進次郎(阪神)
5 江夏豊「伝説の9者連続三振」
昭和46年のオールスターゲームでその伝説は生まれた。しかも今でも語り継がれる、阪神の江夏ー田淵という夢のバッテリー。並居る強打者を揃えたパ・リーグのスタメン打者に対し、阪神バッテリーは少しも怯むことなく堂々としたマウンド捌きだった。ひとりで3回までしか登板できない中、9者連続三振の大金字塔を打ち立てた。その時のパ・リーグの先発打者陣が半端ない。1番・有藤道世(ロッテ)2番・基満男(西鉄)3番・長池徳二(阪急)4番・江藤慎一(ロッテ)5番・土井正博(近鉄)6番・東田正義(西鉄)7番・阪本敏三(阪急)8番・岡村浩二(阪急)9番・加藤英司という布陣だった。それを全員三振に仕留めたのだから脱帽だった。それだけで伝説は終わらなかった。なんと自らがライトスタンドに痛烈な3ランホームランを放った。まさにひとり舞台。この時の江夏は向かうところ敵無しだった。入団から9年連続で二桁勝利を挙げた。そして2年目の19歳で、1シーズン401奪三振を成し遂げた。まさに球史にその名を残す快投だった。
http://www.youtube.com/watch?v=_etdt8EGC_Q
さらにさらに、この試合の伝説はまだまだ続く。全セはこの第1戦で、江夏の後に渡辺秀武(巨人)、高橋一三(巨人)、水谷寿伸(中日)、小谷正勝(大洋)の4投手が継投し、オールスター史上初のノーヒットノーランを達成した。そして江夏がさらに神といわれるのは、前年の1970年に、江夏は1970年のオールスターゲームでも5連続奪三振を記録しているので、これでトータル14連続奪三振となったというおまけ付きだったことだ。まさしく記録づくめの大投手と言えよう。
記事作成:平成25年7月13日(土)~平成26年9月20日(土)
一部追記&編集後記
この記事は昨年の夏に企画して執筆を始めたが、その後、行き詰まり放置してしまっていた。ずいぶんご無沙汰だったが、ようやく掲載できるまでに中身が膨らんだ。巨人ファン以外の人も、プロの技を存分に満喫してほしい。
そして、平成26年度ペナントレースを制したのは、やはり巨人だった。今年の巨人の戦力でよくぞ優勝できたものだ。3割打者はゼロ。阿部や村田などが極度の不振に喘ぎ、4番打者はもちろん、打順を固定できず、めまぐるしく入れ替えた。また、救援陣も不調。山口、マチソン、西村の3本柱を入れ替え、マチソンを守護神に指名したが、安定感はなく、終盤打ち込まれて逆転負けを喫する場面も少なくなかった。山口も制球に苦しんだ。
それでも優勝できたのは、あくまで実力主義を貫き、勝負どころでの強さや1点差ゲームで首尾よく勝利をもぎ取ったことによる。接戦にもつれ込んでも、足のスペシャリストの鈴木、代打の切り札・高橋由伸が控えているのは相手投手にとっては脅威だった。こうした選手を適材適所に配置した、原采配の選手起用は卓越していた。まだまだ松井秀喜の出番はなさそうだ。実に監督11シーズン目で7度のリーグ優勝は見事というほかない。
次はCSだが、阪神であっても広島であっても、慌てることなくどっしり構え、白鵬のような横綱相撲を見せてほしい。(9月29日)