Quantcast
Channel: 時遊人SUZUのひとり言
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1757

野球の話(新旧変更)

$
0
0

 久し振りに今日は野球ネタで行こうと思う。これまで4年の間に何度も野球に関するテーマで記事を書いてきた。それは小学校のソフトボールに始まり、青春時代の大部分を野球に身を投じてきた自分にとって、野球は生活の一部であり、今でもプロ野球観戦を含め、野球の熱烈なファンであるからである。しかし、長年野球を愛し続けてきたものの、柔道がそうであるように、野球においても毎年のようにルール改正がなされ、また使用する用具も劇的な変化を遂げてきた。少年時代のそれとは色々な意味で進化していると言えるだろう。そこで本日お送りするのは、そうした野球の変化について取り上げてみたい。

 1 練習方法

 ① 練習中は水を飲むな

 私が中学時代は、休日ともなると朝早くから夕方遅くまで練習づくめだった。郡山一優秀と言われた中学校において、一体いつ勉強すればいいのと首をかしげたくなるほどくだらない練習をさせられていた。フリー打撃中は、10分に1回自分のもとへボールが飛んでくるかわからないような練習で、その間特に運動もせず、何もしないでただ声を出しているだけだった。時間の無駄以外の何者でもなく、単なる時間の浪費であった。しかも当時は、練習が終了するまで炎天下であろうが一切水分を採ってはいけないのが鉄則。単なる我慢大会で、こんなことで精神力を鍛え、忍耐力を高め用などとは愚の骨頂で、よくぞ熱中症で死者が出なかったと呆れるばかりだ。今同じことをやったら大問題で、体罰に等しいだろう。

 ② スパルタ式指導法

 これも体罰紛いの練習法。当時は失敗したり、気が緩んだプレーをしたら、監督やコーチ、あるいは先輩の罵声や鉄拳制裁は当たり前だった。ケツバットやグラウンド10周などの罰則は日常茶飯事で、誰もその方針に異論を唱える者などなかった。もっとも当時は「巨人の星」や「アタックNo.1」などのスポ根ものが主流で、スパルタ式でやらないと強くなれないと信じきっていた。今では時代錯誤もいいところで、体罰やなんだの保護者が黙っていない。

 ③ トレーニングメニュー

 私が中学時代の野球部で基礎体力作りの名目でさんざんやらされたのが「腕立て」「腹筋」「うさぎ跳び」「空気椅子」だった。とれも雨天時の室内練習の基本メニューで、一番きつくつまらない練習だった。私は雨天時が鬱陶しかった。今、後者の2つはどの学校でも練習メニューから外されているだろう。これは医科学的に奨励していない。毛細血管断裂などの負の効果しかないと立証されてから、筋トレからは抹殺された感がある。今は、マシンを使ったウェートトレーニングに取って代わった。

 2 アイシング

 これもまた然り。昔は投手は、「肩を冷やしてはいけない」と云われ、例え100球以上投げて炎症を起こしても冷やすことはしなかった。しかし今は、高校野球であっても、試合後は大げさなほどのギプスのような器具で肩を覆い、急速アイシングで炎症を和らげる措置が取られている。時代は変わったものだ。

 3 ルール改正

 ① SBOカウント

 こちらは昨年からプロアマを問わず、すべて欧米式(国際ルール規格)に変更された。それに伴いスコアボードもあちらこちらで改修が行われた。私は未だに「2ボール1ストライク」というアンパイヤーや実況アナウンサーのコールは違和感がある。

 ② 飛ばないボール

 こちらもWBCに則り、昨年から牛革から馬の革を用いたすべりやすい飛ばない低反発ボールに統一された。結果本塁打数は激減し、投手が圧倒的有利となった。野球の醍醐味を奪われたようで心もとない。

 ③ 審判4人制

 かつてはレフトとライトに線審がいた。よってプロ野球の審判は、従来は6人制であった。それが欧米スタイルのアクティブジャッジの推奨と導入で、4人制になった。これにより、ライン際のきわどいジャッジの際に誤審が多く発生するようになった。人件費削減の名目もあったようだが、日本人にはあまり馴染みがなく、公平性という視点ではあまり歓迎したくない制度だ。審判はミスを犯す人間が行うので、生活がかかっているプロ野球だけは、ホームランやアウトセーフのきわどい判定に関しては、ビデオ判定を導入すべきであろう。

 ④ボーク(15秒と20秒ルール)

 ランナーがいないとき、ピッチャーはキャッチャーの返球を受けてから20秒以内に投球しなければならないというルール。これは試合のスピードアップ化の目的で制定された。しかし、よりゲームの短縮化のため15秒ルールが導入された。無走者のとき、投手が捕手からボールを受けて15秒以内に投球しない 場合に、球審がボールを宣告するというものである。このルールは、2009年より日本プロ 野球において採用された。

 ⑤ ドーム屋根球場の特別ルール

 これもローカルルールで、その球場によって独自のルール制定がなされている。例えば、東京ドームの場合、天井に打球が直撃した場合は、オンプレー。また中央に吊り下げられた巨大スピーカーに当たれば、認定ホームランとなる。実際に近鉄に在籍していたブライアントとがスピーカー直撃弾を放ち、認められたが、推定飛距離160mという強烈弾だった。

 4 難しいルール

 ① 塁上に2人のランナー

 挟殺プレーでよく起きるが、塁上に2人のランナーが残るケース。その場合は前の走者に占有権があるため、塁上の2人にタッチした場合には後ろのランナーがアウトになる。これを知らず、勘違いした前のランナーが塁を離れ、ダブルプレーを取られるシーンがある。プロたるもの、しっかりルールを覚えたいものだ。

 ② 同時はセーフ?アウト?

 こちらは明確な規定がない。よって同時に見えた場合にでも、その場の審判の目による判定がすべての実権を握る。

 ③ スリーフィートオーバーと1塁の駆け抜けとオーバーラン

 3フィートは約94cm スリーフィートオーバーとは、ランナーがボールを持った野手から 逃げることができる長さを3フィートとし、これを越えて逃げた場合に適用され、その ランナーはアウトとなるルール。

 打者走者は、一塁へ走り込んだ後にオーバーラン(またはオーバースライド)することを許されている。ベースを駆け抜けて離れても、タッチアウトになることはない。ただし、これは「ただちに1塁へ戻る」ことが条件。ベースを離れている時間がいたずらに長いと、タッチアウトとなることもある。1塁をオーバーランした後、2塁へ進もうとする行為を見せると、その瞬間からこの権利が消えてタッチアウトになる可能性が生まれる。

 ④ 故意落球

 ダブルプレー狙いで、一旦グラブに収まった打球をわざと落としても打者にアウトが宣告される。つまり、ダブルプレーは認められない。

 ⑤ 守備妨害と走塁妨害

 打者や走者が守備側の一連の動作を妨げた場合には守備妨害、守備側が走者の塁上に立ちはだかったり、走塁に支障をきたすような行為に及んだと審判が判断すれば走塁妨害で進塁が認められる。ただし、本塁上でのクロスプレーは、キャッチャーがベースを隠すようにブロックしていても走塁妨害にはならない。したがって走者が捕手に体当たりして生還を図ろうとする場面がよく見られる。返球が捕手に来ないのに体当たりすれば守備妨害となるが、クロスプレーでは体当たりして生還しても妨害にならない。また、走者に打者の打球が当たった場合には守備妨害でバッターアウトとなる。

 外野でファンがボールを体に当ててグラウンドに戻した場合にはエンタイトルツーベースとなる。

 ⑥ 退場になる要件

 ストライクボールの判定、フェアとファール、アウトセーフでよくもめる場面がある。基本的に審判への抗議は監督しか認められていない。しかも審判に触れてはならないし、暴言も御法度。つい先日もDeNAの中畑監督が勢い余って審判にどついたようになってしまい、今季2度目の退場をコールされた。しかも2度目は罰金で、シーズン3度となれば出場停止措置も入る。かつての故・大沢お和文、金田正一、星野、ブラウンは今のルールを適用されたらたまったもんじゃない。他にも遅延行為や危険球でも一発退場となるケースが実際に起きている。

 ⑦ ドカベンルール

 これは水島新司の漫画「ドカベン」の中で描かれていた。不知火率いる白新学園と明訓高校の息詰まる投手戦での一節。一死一・三塁の場面でスクイズのサインが出て、三塁走者の岩鬼が不知火が振りかぶったのと同時にスタートを切り、殿間がバント。しかしこれを不知火がダイビングキャッチ。岩鬼はそのまま塁に戻れず、勢い余ってホームに入った。不知火は3塁ではなく、飛び出した1塁走者を刺すため一塁へ転送し、ダブルプレーでチェンジ。そのままベンチに引き上げた。しかし、次の瞬間、スコアボードに1点の文字が・・・。ルールを知らなかった不知火の致命的なミスだった。

http://www.youtube.com/watch?v=mlthrVQGWo4

 しかし、これは漫画だけでは終わらず、高校野球の甲子園(済々黌vs鳴門)で再現されたのだった。

http://www.youtube.com/watch?v=vPigkWEUD3I

 ⑧ 反則打

 投手が投球動作に入った後のバッターボックスの移動は禁止。また、スクイズや敬遠のボールを打とうとして、バッターボックスを出て打ってはならないという規則。空中であれば構わない。

 ⑨ アピールプレー

 タッチアップが早いとかベースの踏み忘れ、ハーフスイング、デッドボール、自打球などがこれに相当する。守備側のアピールがないとそのまま試合が続行される場合がある。

 ⑩ 攻撃のルール

 インフィールドフライは無死、または一死で塁が埋まっている場合、打者が内野フライを打ち上げて、アウトが確実な場合に審判によってアウトがコールされるルール。もし、このフライを野手が落球したとしてもアウトは変わらない。この措置は、故意に落球してダブルプレーを実行しようとするプレーを回避するためのもの。また、振り逃げは無死・一死ランナー1塁で振り逃げはできない。しかし、振らなくても捕手が落球した際には振り逃げは有り得る。また、バッタースボックス内でバットに二度当たりした場合は、ファウルとなる。

 5 審判の裁量?

 ① 変化するストライクゾーン

 一時期、ストライクゾーンの見直しがなされたことがあった。ストライクゾーンは、打者の身長た体型によって著しく変化する。膝小僧から胸元までとなっているが、欧米並みに低めを有利にしたり、審判によって裁定はまちまちで、高めをよくストライクにとる審判も多い。したがって、プロの投手は真っ先にその試合の審判のストライクゾーンの癖を読み取って、対処することが多い。現役時代の桑田真澄は必ず審判の癖を見抜き、それを巧みに扱ったとされている。

 ② ハーフスイング

 こちらも年によって厳しく取った時期があった。少しでもバットが前に出ればいやおうなくストライクにしていた時期があったと記憶している。

 ころころ変わるルールや試合方式

 ① 制限時間による延長

 記憶に新しいのは東日本大震災の原発事故による電気の供給量が削減されたことによる特別措置。3時間を越えて次のインイングには入らないとか、過去にも省エネが話題になった際に延長は12回までと規定された。

 ② 勝利打点の導入と廃止、ホールドなどのタイトル新設

 20年くらいまでは打者に勝利打点という項目があり、勝利にどれだけ貢献したかのバロメーターがあった。それが今ではそれが姿を消した。また、メジャーの投手起用法の導入によって、各球団の投手が完全分業制が確立されたことに伴い、新たに設けられたタイトル。年間50試合以上も投げていても勝敗がつかない場合が多い中継ぎ投手にとって励みになる嬉しい賞である。

 6 その他

 最近、野球を見ていて、やたらと投手の球種が増えたことに気づかないだろうか。かつてはストレート(直球)、カーブ、シュート、フォーク、チェンジアップくらいしかなかった。それが今や変幻自在な幅広い球種を操り、打者を翻弄するピッチャーが多くなった。

 既述の5種類に加え、スライダー、シンカー、パームボール、ナックル、スクリュー、ジャイロ、スプリットフィンガードファストボールなどそれは多彩になった。投手有利の飛ばないボールとなり、さらに球種が増えれば得点が激減し、ますます投高打低の傾向は当分続きそうだ。

 参考HP http://www.kidtom.com/baseball/

 記事作成:5月26日(日)

 追記

 こんな話題を書いた途端、6月12日になって急に「統一球」(飛ばない低反発ボール)の無断変更問題が浮上した。今年のプロ野球は、DeNAのブランコやヤクルト・バレンティンの本塁打量産などにもわかるように、低反発らしからぬ「飛びすぎるボール」が気になっていた。やはり蓋を開ければこのようなカラクリがあった。これでは投手はたまったものではない。プロの選手は完全出来高制で給料(年俸)が支払われているため、まったくもって死活問題である。例えば、飛距離が出ないだろうと思い込み、多少甘いコースに投げ込んで勝負したら打たれたケースも相当いることだろう。おそらくは、投高打低では得点力が激減し、野球の魅力は半減することだろうと判断し、選手側に無断で勝手に試合球を変更したNPB機構側に問題があることは明白だ。たぶん、バレなければ、このまま隠し通そうとした腹に決まっている。
 今回の事態は却って混乱を招き、選手側や野球ファンなど多方面からの不信感を募らせる結果となった。私たちプロ野球ファンも裏切られた感は否めない。これほどの大罪を働いておきながら、球界トップの加藤コミッショナーは、謝罪こそしたものの、「不祥事だとは思っていないし、責任を取る必要はない」と平然と宣った。自らが承認したことを表明する証として自分の名前を入れた試合球を使用させておきながら、この言い草は何なんだ。「自分は知らなかった」と言い張り、責任を取らない構え。プレーする選手側に知らせず、内々に最も重要な事項を変更しておきながら、それがバレたら開き直って「知らぬ存ぜず」を盾にし責任を取らない最高権力者。この醜態こそが非常識極まりなく、腐った体質以外の何物でもない。こういう責任逃れのトップの下では選手はやる気を失せてしまう。
 もしかすると、事前に告知や説明をしていたのなら、各チームの戦略も異なり、今年のプロ野球はガラリ展開が変わっていたかもしれないのだ。それをコミッショナーともあろうお方が、真っ先に自らの保身を優先させるという暴挙に出た。まさに愚の骨頂。一刻も早く辞任し、再出発を図る方が球界全体のためだと思う。(H25/6/14)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1757

Trending Articles