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Channel: 時遊人SUZUのひとり言
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魂を揺さぶられたシンガー①

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 今は亡き名シンガーたちをシリーズでお送りする記事を書こうと思い付いた。名曲は時代や世代を超えて語り継がれる。琴線に触れるメロディーや思わず共感し、心に染み入るような詩の数々。歳を重ねることでそのことを実感し、人生の応援歌のようにさえ思えて来る美しい詩。名曲は今後もずっと後世に残るであろう。

 今日は記念すべき初回にあたり、私が大好きだった孤高の歌手を取り上げたい。そのシンガーは「河島英五」。彼ほど泥臭く、そして人間味溢れる歌い手はいなかった。人間の格好悪さや赤裸々な生き様を包み隠すことなく、率直に、しかし真っ直ぐに訴え続けた。

 男の強さや哀しさ、優しさ、父親としての心情を唱いあげた数々の曲は、時代を越えて男性の共感を呼び、歌い継がれている。若いころにギターを持って世界を放浪し、庶民の暮らしに触れ、音楽を通して共に喜怒哀楽を共有し合った経験が、河島英五の音楽の礎を築いている。内外のミュージシャンが驚くほどパワフルな音量と大声で唱いあげる姿、「男らしさ」にこだわった歌詞がが特徴。コンサート活動は、大都市だけでなく山間部や僻地でも行い、音楽を通じてファンと交流することに主眼を置いた。

 未だに彼の死を悼み、死後13年以上経過した今でも、彼の功績を湛える根強いファンが多いのも頷ける。彼の描く人生観を、同じ年齢になって初めて共感し、改めてファンになる方も多い。彼は一回り以上も年上だったが、いつの間に私も彼が亡くなった年齢を越えてしまった。世代を超えて今もなお愛され続けるシンガーだ。では、私が大好きな曲を5曲お送りしたい。

 1.酒と泪と男と女

 私は1980年代のテレビドラマ「昨日、悲別で」の挿入歌として、風の「22才の別れ」とともに流された時に、しみじみと聞き惚れた記憶がある。当時、浪人生活を送っていた自分は、このままで本当にいいのか。自分はどこから来てどこに向かっているのか、10年後、20年後の自分の姿を思い浮かべて、あれこれ思い悩んだ時期だった。そんな時、自分の境遇に人生の奥深さを教えてくれたのがこの曲だった。まさしく魂を揺さぶられた人生ソングだった。

 2.時代遅れ 

 彼の人となりを偲べる曲だ。酒というフレーズががよく似合うし、彼の寡黙な生き方が如実に表れている。彼の人生そのものを言い表した名曲だ鍵盤を叩く、彼の力強さ、野暮ったさが伝わる。ピアノの弾き語りなのに、人間臭さが漂って来る。夜、ひとりで好きな酒を呑みながら聞いたら、人生そのものを実感できるような気がする名曲中の名曲。彼の声もまた人生の雄大さを物語っている気さえしてくる。

 3.野風増

 男親ならだれでもそうしたいと願うささやかな未来予想図。そしてそれが幸せ。息子と一緒に酒を酌み交わしながら人生を語り、夜を明かしたい。そんな切なる親としての願いが込められた温かい歌だ。 

 4. 生きてりゃいいさ

 人生の応援歌のようなフレーズが続く。優しく背中を押してくれる、そんな激励ソング。喜びも悲しみも立ち止まりはしない。生きるなんて簡単だ。忘れれば良い。悩み苦しんでいる人に光や安らぎを与えてくれるスケールの大きい曲だ。「YouTube」のコメントを読めば、この歌を聴いて自殺を思いとどまった人も多いし、病気で苦しんでいた人に生きる力を与える曲となった。

 5.元気ですか

 この曲は東北電力のCMソングになったことで知られることとなった。東北の人ならだれもが一度は耳にしたことがある筈。震災後この曲に勇気づけられました。「元気ですか」  きっと過去から未来へのメッセージです。ノスタルジックな雰囲気を醸す。鳥肌が立った曲です。

 <おまけ 弾き語り MC>

 客席と一体となってライブを盛り上げるのが彼の真骨頂。決して一方通行ではない。観客も参加でき、一緒にライブを作り上げるように趣向を凝らしている。巧妙な話術も彼の魅力の一つだった。

 さて、今回から始まったこのシリーズ記事はいかがでしたか。第一回目の今日は、是が非でも河島英五にしたかった理由もおわかりいただけたと思います。人間かっこだけじゃない。本質は人間性だし、たとえかっこ悪くても正直に、人間臭く生きていきたい。そこには嘘偽りのない本音があるし、飾らない自然体のままの自分でいられる気楽さもある。あけすけだが、安心して人生を謳歌できる、そんな生き方が彼そのものだった。2回目はまだ決まっていないが、ひと月に一人のアーティストを取り上げ、在りし日の姿を偲びたい。村下孝蔵、忌野清志郎、大瀧詠一などの特集を予定している。

 記事作成:5月21日(水)


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