昨年は旅三昧だった。震災以降、福島県内の釣り場は、福島第一原子力発電所の事故により、放射線拡散や汚染水問題などにより、釣りができなくなったことで、代替案として学生の頃の再燃とばかりに、思いついた時に、気ままに旅に出る「ぶらり旅」を実行するに至った。近場、遠出を問わず、そこかしこに出向いた。今年も気温の上昇と共に、体がうずうずして来た。今年も昨年同様、不定期に敢行するこの旅シリーズを掲載したいと思う。ただし、物見遊山もいいのだが、せっかくぶらりでも旅に出るからには、毎回、何かしらのテーマを携えて、記憶に残るようにしたいと考えている。しかるに、2014年第1回目の今日は、かつて隆盛を極めた、二本松の奥座敷「岳温泉」に纏わるエピソードを交えながら歩いてみることにした。題して以下のような旅となった。
「ノスタルジーと出逢う旅 ~とある廃業老舗旅館を訪ねて~」
岳温泉と言えば、1980年代に町おこしとして大々的にPRして、全国から誘客に成功した「ニコニコ共和国」を思い出す。バブル景気の前に当たるが、その好景気に先駆けて「ふるさと創生」策として、地元が主体となって、活性化事業が実行されたのだった。マスコミの力も借りて、この地が広く全国に知れ渡るようになり、多くの観光客が押し寄せて、賑わいを取り戻した。
私個人の想い出としては、その10年ほど前に、二本松界隈を拠点に行われたフェスティバルのほうが存在が大きい。山間部をヘリコプターで遊覧できて、私も父親と一緒に初めて乗ったのだった。深い安達太良山系の山々の尾根伝いに飛び、それは幼子心に怖かった思い出がある。また、ウエスタンカーニバルとして、本場の西部劇のようなオープンセットを組み、そこで、馬車に引きずられたり、ガンマン同士の派手な撃ちあいなどのショーを見ることができた。それ以降、二本松周辺は、東北サファリパークの開園や、エビスサーキットなどの開業により、観光地として勢いがあった。また、20代の頃は、スキーブームが沸き起こり、安達太良高原スキー場や塩沢スキー場などにも多くのスキーヤーが押し寄せた。
「ニコニコ共和国」は、目抜き通りである、有名な温泉街の坂道の麓に建てられた(現存している)。観光協会長が大統領に扮し、独立国を宣言し、そこで貨幣をは独自の通貨に両替して、使用することになっていた。結果、数多くの当時客や、興味を持った旅行者たちの誘客に無図び付き、企画としては成功裏に終わった。由緒ある既存の老舗旅館に加え、大資本が参入し、巨大ホテルがオープンした。陽郷の里「あづま館」などがそうだ。あれから早、30年以上が経過した。温泉街は寂れる一方となった。今回訪れたいのは、岳温泉旅館組合でも、老舗旅館として名を馳せた「松渓苑」だった。今から3年前に惜しまれながら閉館してしまった。理由は、福島原発事故の風評被害の影響で、客足が遠のいたこと。負債7億円を抱えてしまい、敢え無く経営を断念し、「松渓宛」は多くの温泉ファンの願いもむなしく、廃業することに至った。私は職場の忘年会で「東三番館」と「あづま館」、「鏡が池碧山亭」に宿泊したことがあるが、ここは敷居が高そうで、暖簾をくぐったことはなかった。今回は、そこと10年ほど前に職場の事業で宿泊したことのある「碧山亭」、そして昨年も吾妻小富士ハイキング時に訪れた「足だけの湯」に浸かりたい。
では当日の模様をどうぞ!
<予定>
旅行日:2014年5月17日(土)
天候:くもり/小雨
時間:9:19~12:00
早朝出発を目論んでいたが、このところネット依存が顕著。深夜の時間帯までブログや動画サイトをチェックし、夜中の1時過ぎまで夜更かし。よって睡眠不足。なかなか朝起きられない。8時過ぎに起きてしまい、大幅な時間変更を余儀なくされた。
9:19 自宅発。11℃。3日連続で強風。会津街道を西走。
9:30 喜久田トライアル。買い出し。1,519円。5.4km。
9:37 県道8号線(越後街道)手前のブロック山積みの路側帯のPで生寿司(なんと29
8円)を食す。2Lのペット茶がぶ飲み。直進して北へ。細い田んぼの一本道。対向
車結構来る。進行方向、白い分厚い雨雲。小雨がフロントを叩く。道端にお地蔵
様の大群。不気味。右には完成記念碑、山道、左折するところを間違えて直進。
左折、右折を繰り返し、やっと良い道へ合流。県道304号。もみじマークのジム
ニー妨害。
9:57 左折して玉貫から来る県道30へ合流。20.3km。お馴染みのオシャレなペン
ション風レストランや木立の中に建つピザ屋を通過。
10:04 岳温泉街へ。国会議事堂(観光案内所)の交差点を右折。細い下り坂へ。足湯、
若い女性二人が入っている。観光客か?写メ撮っている。通過。そのまま鏡ケ池
へ。間違えて碧山亭の駐車場へ。Uターン。湖畔を周り、対岸の小屋のWCへ。1台
分駐車スペース有。
10:07 鏡ヶ池到着。27.2km。気温が低く、風もある。そこでトライアルで買ったチョコ
パンを食べる。池にせり出した木製デッキのベンチに座って食べる。のんびりとし
て、静寂。湖面を挟んで対岸(北西側)に大きなホテルが2軒。(櫟平ホテルと碧
山亭)が聳え立つ。5分ほどの滞在と写真撮影ですぐさま出発。足湯は今度はお
ばちゃんが一人。しかし、ここは狭くて駐車禁止の文字。そのまま温泉街の坂道
へ。昔ながらの温泉宿が軒を連ねる。たぶn15年ぶりくらいにこの坂を上った。
右には宿泊したことがある「東三番館」。坂を登りつめた右側、この坂の通り沿い
に「松渓宛」の玄関が面していた。意外だった。てっきり奥に入った先にあるものと
思っていた。そこは神社の参道なので駐車禁止の文字。Uターンし、松渓宛の玄
関先に他の旅館の宿泊者と思しき車が数台。1台分だけ空きスペースがあったの
で、そこに頭から駐車。
10:15 「松渓苑」着。玄関のドアには閉館を知らせる云々の貼り紙。軒先の屋根瓦は、
震災の時と思われるが、崩れていた。しかし、曇りガラス越しに中を見れば、帳簿
や生活用品など、そのまま残されてあった。実は、ここは旧名佐藤旅館と言い、
岳温泉では有名な人気宿だった。日本庭園が美しく、和の雰囲気満載で風情と情
緒があって、古さと詫び寂びを感じることができる希少な老舗宿だった。
また、ここの美人若女将が「美しすぎる美人女将」として名を馳せ、テレビ番組に
出演したことも多数あった。閉館し、その女将さんや給仕さん、番頭さん、料理人
などはどうしたのだろうか。会ってお話を聞いてみたい気がする。
誰もいない無人の廃業宿だけに、周辺の活気は失せていた。かつてはその歴史
と伝統の中で栄華を誇った老舗旅館が今や時代に取り残されて、放置されたい
た。栄枯盛衰を感じる。しばし感傷に浸る。
「松渓苑」と「美人女将わかば(佐藤亮子さん)」に関する記事はコチラ。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14043089
http://matome.naver.jp/odai/2130147596463445001/2130147636963454203
http://www.minpo.jp/pub/topics/hotnews/2009/10/post_437.html
http://www.dakeonsen.or.jp/cgi-bin/dakeonsen/news.cgi?id=169
http://www.ntt-fukushima.com/tokushu/015/index7.html
10:20 「松渓苑」発。通り沿いは土曜日だというのに人気が少なく、閑散状態。「美味し
んぼ」の影響も出ているのかもしれない。いずれにしてもかつての隆盛や繁栄ぶ
りは影をひそめていた。帰り際、足湯を見たら、工事の職人らしき人たちが10名
ほど浸かっていた。やはりここは早朝にでも来ないと空かないようだ。駐車できな
いのが辛い。鏡ヶ池のほとりで路駐し、写メ。その後、アパートの先を右折して桜
並木(1か月前は綺麗だった筈)の狭い坂道を登り、県道へ。
10:23 岳温泉発。小雨ぱらつく。セブンの先を右斜めに入る。県道304.玉井小学校
で運動会開催。車多数。軽の女割り込み。大玉村の町中で右左折クランク。パト
カーすれ違う。この周辺パトカーよく見かける。右折して田んぼの一本道へ。水色
のエスティマを追う。左折。右カーブして高速道路のすぐ脇を並行。
10:37 右に蛇の鼻遊楽園のゲート。車少ない。よく潰れないものだ。懐かしいので、正
面の脇道に駐車してゲートを写メ。紺の飛ばすベンツに抜かれる。
佐川急便の先の十字路をそのまま直進。ヨークタウンの南側から右折してR4へ。
10:42 アサヒビールの北側で合流。後ろのダンプと前のベンツが煽る。ちょこまか運
転。
10:47 旧ジャスコ交差点右折。寄り道。
10:49 ケーズデンキ日和田店へ。ケータイいじり。フレッツ光店員に何度も聞かれる。
11:55 ケーズ発。バイパス行かず。裏道。
12:00 帰宅。
走行距離:53.1km。
「岳温泉」の紹介プロモ
ぜひ一度お泊りあれ。
さて、今回のチョイ旅はいかがでしたか。旅とは呼べない散歩気分が一番楽しいし、充実している気がする。今年もこれを皮切りに、どんどん未知の世界へ旅立ちたいと思う。
記事作成:5月17日(土)