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Channel: 時遊人SUZUのひとり言
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ダンディズムを追求する歌い手

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 このタイトルで誰を思い浮かべるでしょうか?たぶん想像できないと思う。では、ヒントを差し上げましょう。ロックキャンディーズ、アポロキャップ、アコースティックギター、70年代後半にフォーク&ニューミュージックの頂点に君臨した男。まだわからないでしょうか。20代~30代の方には難しいかもしれません。では愛称が「チンペイ」だっと人というヒントはどうでしょう?たぶんここまで聞けば、「アリス」というグループと共に「谷村新司」という名前が出て来る筈だ。そう、今日のブログで取り上げる人は彼をおいてほかにいない。
 私は中学生の頃に、「アリス」の奏でる軽快にして重みのある楽曲に惹かれ、その虜になっていた。「今はもう誰も」「遠くで汽笛を聞きながら」「明日への讃歌」「帰らざる日々」「冬の稲妻」「涙の誓い」「ジョニーの子守唄」など次々とヒット曲を飛ばし、新しい音楽シーンを築くと共に、時代をリードしたその貢献は著しい。そしてその結実した曲が「チャンピオン」だった。レコード大賞では作詞賞を受賞し、また、山口百恵などにも楽曲を提供するなど、彼の奏でる作風は時代背景とマッチし、大いにもてはやされた。そして高校時代、彼のコンサートを見に行ったこともあるし、彼のソロアルバムも何枚か所有していた。もちろん彼の曲をコピーしてギターを弾いて叫んでいた。つまり「アリス」と谷村新司は私の青春時代のシンボル的な存在だった。

 ところで今日は、以前に「アリス」について記事に書いたことがあったので、今回に至ってはソロとしての活動として私が気に入っている曲を7曲紹介したい。彼の詩の特徴は、漢字が多く、難しめの表現や堅苦しい古典的な言葉を敢えて用いる点にある。見るからに堅物的ないかつい印象を与えるが、それが彼が目指した究極のダンディズムであるかのように思えた。

 1位「群青」

 映画「連合艦隊」のエンディングでも使われた非常に重みと深みのある曲。私のカラオケの十八番でもある。人生とは何か、生と死の意味、戦争とは、愛とはなど様々なテーマを意識する曲だと思う。

 2位「玄冬記ー花散る日ー」

 私が所有していた「海を渡る蝶」という彼のアルバムにあった意味深にして重過ぎる曲。葬式の帰りに満天の星空を見上げ、亡くなった方の在りし日の姿を偲びつつ表現した一曲。高校時代に聞いた私は、かなり衝撃と影響を受けた一曲だった。

 「通夜の夜には不釣り合いなほど空一面の銀の星~」などとても歌詞とは思えない描写に驚愕したものだ。

 3位「Far away」

 こちらも私のカラオケのレパートリーとして長らく歌い継いできた一曲。愛する人と遠く離れていても心は通じ合っている。遠距離恋愛していた私の境遇にもっとも響いた曲だった。

 「どんなに遠く~離れていても~夜ごと心は~空を駆けていく~」

 4位「今ありて」

 春のセンバツ高校野球のテーマソングとして作られた。私は「栄冠は君に輝く」よりも好きな歌だ。スケールの大きさを感じる。

 「嗚呼甲子園~草の芽萌たち~駆け巡る風は青春の息吹か」 鳥肌物の一曲だ。

 5位「いい日旅立ち」

 あの伝説の歌姫・山口百恵に提供した名曲。あの難しい作風を百恵ちゃんに歌わせたチャレンジも凄かったが、漢字のもつ重厚感を彼女なりに歌い上げた。「♪少年は魚釣り~紅い薄の小径を帰るのか~」など、何か運命的で抒情的すぎる。

 6位「サライ」

 ご存知日本テレビ24時間テレビのエンディングテーマソングとして使われて久しい。加山雄三とのデュエットとしても知られる名曲。合唱で歌えば、かなり鳥肌・・・。

 7位「陽はまた昇る」

 こちらは運命的な曲。絶望の淵に置かれ、どん底の状態に陥っても、決して諦めないで頑張って縋り付いていれば、いずれまた陽は昇り、日の目を浴びる日が来るということを暗示する名曲だ。イントロ部のピアノソロがそのスケールの大きさと運命を感じさせてくれる。

 8位「昴」

 ザ・ベストテンで流れた時、壮大なスケールのセットに、人生を実感し、自殺を思いとどまった人のハガキが番組中に紹介されたのには驚いた。いばらの道を重い十字架を背負いながら、それでも歩き続ける男の悲哀や人生観が滲み出ている名曲だ。

 9位「三都物語」

 JR西日本のキャンペーンソングとして製作された。壮大な歴史浪漫に引きずり込まれるような一曲。旅情を掻き立てられ、明日にも見知らぬ街を訪れて見たくなる旅情あふれる曲だと思える。

10位「忘れていいのー愛の幕切れー」

 女優・小川知子とデュエットが話題になった。唐突に身を寄せ合い、彼女の胸元に手を忍ばせるパフォーマンスは衝撃的だった。

 他にも「未青年」、「秋止符」もまた好きな曲だった。

 いかがでしたか。リンクした曲を聴くと、歌詞も曲調もかなり暗い印象。しかし、その重厚感あふれる詩の紡ぎ方によって、よりいっそう人生観や死生観を高める曲に仕上がっている。究極のダンディズムを追求する彼の姿勢の顕れだと感じる。使われる言葉一つ一つに重みと厚さを漂わせ、人生をとことん追い求めるその手練の技はかれでしか成しえない独特な谷村ワールドなのだろう。彼は服装もオシャレで、親父臭さもあるが、ややアジアンティストの雰囲気を漂わせている。今後も年老いて行くたびに、ますます年相応の格好良い曲を提供してくれることは間違いなさそうだ。

 記事作成:4月7日(月)

 


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