ここ数年、「福島あるある」とか「福島の法則」などお国自慢する本が出回っている。私がブログで書いた内容をそのままパクッたかのような内容が織り込まれている。何を隠そう、某出版社から、この手の本の発売を企画していると、私にライターにならないかとオファーがあった。それほど大学4年間を除き、半世紀近く福島県内に在住した私にとっては、地元ネタには事欠かない。
そんな地元愛を自負する私だが、意外にも福島県民ですら知らない、あるいは忘れている事実を今日は3つ取り上げたい。
1 新撰組の沖田総司は白河藩士の子
剣の達人にして新撰組のメンバーだった厚顔の美少年・沖田総司は、実は奥州白河藩士の子として江戸の白河藩屋敷で生まれた。9歳頃、江戸市谷にあった天然理心流の道場・試衛館(近藤周助)の内弟子となり、のちに新選組結成の中核となる近藤勇、土方歳三とは同門にあたる。若くして試衛館塾頭を務めた。
新撰組は会津藩のお抱えとして激動の幕末の戦乱の中、天下に名を残す活躍を見せた。池田屋騒動で倒幕派を蹴散らし、戊辰戦争の血生臭い歴史の中で中心的役割を果たした。
ほかにも忘れがちな有名人で福島県生まれには、あの怪物・江川卓も福島県いわき市生まれだ。さらにはゴジラやウルトラマンの生みの親である円谷英二監督、五輪マラソンで初のメダルをもたらした円谷幸吉選手も県内出身者だ。
2 納豆消費量日本一
2015年に都道府県民ひとりあたり、年間ナンパック食べているかを示した「納豆消費量ランキング」で福島県が1位になった。しかも市町村別では福島市が1位。納豆生産No.1の水戸市をも凌ぐ「納豆大好き市」なのだ。
上位5県 下位5県
1位 福島県 21.8パック 47位 和歌山県 5.9パック
2位 群馬県 21.5パック 46位 高知県 7.6パック
3位 長野県 21.1パック 45位 徳島県 7.6パック
4位 秋田県 21.1パック 44位 沖縄県 7.8パック
5位 青森県 21.0パック 43位 大阪府 7.9パック
全国平均は13.6パックで、関西方面は消費量が低い。最下位は和歌山県でたった5.9パックで、2ヶ月に1パック食べないという悲惨な結果が得られた。関西はうまいものの宝庫で、未だに納豆を「腐った豆」扱いだ。面白いことに、納豆好きは北日本が多く、納豆嫌いは西日本に偏っている。
参考資料はコチラ https://region-case.com/rank-h27-natto/
ちなみに私は、年間300パックはくだらない。冷蔵庫には常時4個入りのパックが4個はストックしてある。
3 日本三大まんじゅうが郡山発の「薄皮饅頭」
いったいいつ、誰が決めたのか定かではないが、しきりに女優の竹下景子さんがCMでそうアピールしている。10年前まで、そんな事実はどこにもなく、話題になったことすらない。みのもんたがMCしているお国自慢のテレビ番組でそうなったのではないか?と勘繰りたくなる事実だ。私も何度も柏屋の本店を訪れ、薄皮饅頭を数え切れないほど食べているのに、これが「日本三大饅頭」などという話はどこにもなかった。
ちなみに3大饅頭のあとふたつは東京都中央区の塩瀬総本家が生産している志ほせ饅頭、そして岡山県の大手饅頭伊部屋が売り出した大手まんぢゅう。
地元民である私ですらこのような事実を知らなかったのにはカラクリがあった。
それは、三笠書房出版』が発刊している書籍に『日本の「三大」なんでも事典』というものがあり、そこの中の「日本三大饅頭」の一つに、福島県郡山市にある老舗菓子店の柏屋の'薄皮饅頭'ががランクインしたというだけの話。だから正式に国が認定したわけでもなければ、国民の人気投票で決定したわけでもなんでもない。「ミシュラン」にも及ばない、特定の出版社の一企画でそうなっただけの話。それを製造元の柏屋がこれを機に全国的に大々的にCMで宣伝しているだけにすぎない。
当の薄皮饅頭は、今から150余年前、郡山宿(福島県)で誕生した柏屋の薄皮饅頭は、「旅人の心を癒す」という創業からの理念を守り、現在も交通の要衝を中心に販売を展開して、多くの人々に愛され続けている。
記事作成:8月11日(金)