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Channel: 時遊人SUZUのひとり言
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坂井泉水が歩んだ道のり⑤

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 今週はZARD特集をお送りしています。最終日の今日は、2000年代初頭から彼女が衝撃的な死を遂げる2006年までの楽曲。彼女にとっては、死の恐怖と向き合い、命の病気と闘っていた時期にあたる。もしかすると、彼女自身は、死期が近いことを悟り、自ら自分の人生を締めくくる劇的なエピローグを、自らの手で演出したのかもしれない。今日の最終章では、シングルカット37曲目から45曲目までをお送りします。

 37 「もっと近くで君の横顔を見ていたい」 (2003年11月12日) 

http://www.youtube.com/watch?v=mc6XlVy1Q_I

 最高位8位。『月桂冠「月」』のCMソングとして、発売前からオンエアされていた。タイトルの変更、収録曲の変更、発売日の変更と共にジャケット写真も一度変更されている。元々は別メロディのサビで制作されていたが、CMのイメージに合わないと判断されクライアントから作り直しを請求された。その結果、既存のメロと新しく作り直したサビを組み合わせたので、パッチワークのように、曲調が次々に変わる構成となった。

 38 「かけがえのないもの」 (2004年6月23日)

http://www.youtube.com/watch?v=a2N69e-OZe8

 最高位4位。TBS系列の『恋するハニカミ!』に起用された。また同番組にて動画コメントが放送された。2曲続けて発売予定日が変更になった。詞はライヴ終了後の帰り道、移動の車の中で感じた事を中心に書かれた。

 39 「今日はゆっくり話そう」 (2004年11月24日)

 最高位5位。月桂冠『月』のCMソングとして早くからオンエアされていたが、売り上げは低迷した。

 40 「星の輝きを/夏を待つセイル(帆)のように」 (2005年4月20日)

http://www.youtube.com/watch?v=EcjnPo4n3KA

http://www.youtube.com/watch?v=FDM3vVA4n2s

http://www.youtube.com/watch?v=fv2z9U_v250

 最高位2位。前作から5ヶ月経って発売された11thシングル「この愛に泳ぎ疲れても/Boy」以来の両A面シングル。「明日を夢見て」以来4回目の、アニメ『名探偵コナン』のタイアップ(映画を含めると5回目)。坂井いわく、「集中して短い時間で作り、"キラキラ星"の感覚で、お子さんから年輩の方まで簡単に覚えていただける「童謡」のような曲にしたかった」。

 41 「悲しいほど貴方が好き」 (2006年3月8日)

http://www.youtube.com/watch?v=YaJu9u-bBug

 最高位6位。前作から10ヶ月のブランクがあった。この頃に病状が悪化したのは明らか。前作に続いて両A面シングルとなっており、これは、ZARDにとっては3度目となる。『めざましどようび』の「カラッといこう!」の初回放送日と発売週の土曜日に、番組内で坂井のコメントが音声で放送された。ZARDにとって6度目、坂井泉水の生前最後の『名探偵コナン』のタイアップ作品で第24期エンディングテーマ。

 42 「ハートに火をつけて」 (2006年5月10日)

http://www.youtube.com/watch?v=qgRVutIjPRQ

 最高位10位。ZARDにとって最初で最後の昼ドラタイアップ。TOP100登場回数、このシングルで女性ヴォーカルアーティスト シングルTOP10入り通算40作品となった。初回限定盤はデジパック仕様で、表題曲のピアノによるインストアレンジが収録されている。また、ディスクの色が異なっているなどの違いがある。2007年の坂井の死去により、生前に発売されたシングルとしてはこの作品が最後で遺作となった。TBS系愛の劇場『すてきにコモン!』主題歌。

 43 「グロリアスマインド」 (2007年12月12日)

http://www.youtube.com/watch?v=tKEe3HrF6M8

 最高位2位。坂井泉水の死後に発売された曲。坂井泉水が2006年4月に人生で最後にレコーディングした曲であり、オフィシャルブック『きっと忘れない』にレコーディングの様子や歌詞が掲載され、大きな反響を呼び発売が決定。坂井泉水追悼ライブ『What a beautiful memory』でサプライズ発表された。
 オリコンチャートでは2000年に発売された「promised you」以来7年ぶりにシングル初動売上が5万枚を超え、2005年に発売された「星のかがやきよ/夏を待つセイル(帆)のように」以来2年半ぶりにTOP3入りとなる2位を記録。初動のみで前作「ハートに火をつけて」、前々作「悲しいほど貴方が好き/カラッといこう!」の累計を上回った。
 「グロリアス マインド」が2007年6月から行われたファン投票で5位となり、それから約1か月後の2008年1月に発売されたベストアルバム『ZARD Request Best 〜beautiful memory〜』に収録が決定したため、先行シングルのような扱いとなった。レコーディングには癌を患っていた坂井の安全のため、母親も付き添った。
2007年12月31日のNHK『第58回NHK紅白歌合戦』の第一部のラスト企画として設けられた坂井の追悼コーナーで、代表曲の「負けないで」と「揺れる想い」と共に流された。

 44 「翼を広げて/愛は暗闇の中で」 (2008年4月9日)

 最高位3位。2006年3月発売の「悲しいほど貴方が好き/カラッといこう!」以来2年ぶり4度目の両A面シングル。初回限定盤には追悼ライブ『What a beautiful memory』で使用された『きっと忘れない』のライブ映像を収めたDVDが付属している。CDジャケットにはレコーディング中の坂井泉水のカメラ目線の写真が使われている。なお両楽曲ともに日本テレビ系テレビアニメ『名探偵コナン』のオープニング主題歌、映画主題歌に起用されており、これにより『名探偵コナン』のタイアップは通算で9回となった。週間オリコンチャート3位を記録。これによりシングルトップ10獲得数が42作になり、ランクインの時点でサザンオールスターズ、SMAPと並んで歴代トップとなった。

 45 「素直に言えなくて」 (2009年5月27日)

 最高位5位。初回限定盤(JBCJ-6013)と通常盤(JBCJ-6014)の2種リリース。生前、坂井泉水がリアレンジを求めていたと言われる楽曲で、三回忌を迎えるにあたりリリースが決定した。シングルの表題曲で坂井泉水作曲になるのは初めてである。シングル45作目にして初めて、表題曲、カップリングともにノンタイアップとなる作品である。オリコン・週間シングルチャートでは5位を獲得し、シングルトップ10獲得数が43作となった。

 名実ともにこの曲が、ZARDにとってのラストシングルとなった。

 平成の歌姫「坂井泉水」を語る時、誰もが思う、容姿端麗で謎めいた女性・・・。実は、ハニカミ屋で照れ症で、あまり多くを語らず、それでいて芯がしっかりした女性。彼女が短い生涯、全力でかけぬけた季節は、誰にも追いつけない彼女だけの時間だった。それをひとつひとつゆっくり時間をかけて紐解いて行くと、彼女特有の詩の世界があって、誰よりも寂しがり屋で、誰よりも人恋しくて、そして誰よりも女の子らしくて、でも不器用で上手に自己表現ができずに苦しむ自分を描写していたように思う。晩年の楽曲には、死と向き合い、それを暗示するような触りがあちこちに見られる。「かけがえのないもの」は、人生と向き合った彼女が、自分の中で総決算した時に、一番大切なものは何かを再確認している意図も含まれる気がするし、「今日はゆっくり話そう」は、過ぎ行く時間を惜しむかのように、今この時を大切に思う気持ちが表されている。「星のかがやきを」は、自分の命の灯火が尽きた後で、魂が天高く昇り、輝く星になってほしいという願いが込められているきがする。
 「悲しいくらい貴方が好き」では、生涯独身を貫いた彼女が、本当は誰かに恋し、告白できない自分をもどかしく思い、詩情世界に想いを託したように思える。また、病状を公表できず、ファンへの感謝の意をどこかで表現したくてこのようなタイトルにしたのかもしれない。遺作となった「ハートに火をつけて」では、死に直面した彼女が、もう一度生への執着から、自らの精神力を奮い起こそうとする意味とも受け止められる。今となっては真相は暗い闇の中だが、死後6年半以上の月日が流れても、彼女が遺した名曲の数々は、決して色褪せることはないし、後世まで語り継がれていくということだ。彼女と同じ時代に生まれ、彼女の歌に触れられたことに感謝し、彼女が命を賭けて伝えたかった言葉の意味をいつまでも胸に刻み込んで、彼女の分も生きていきたいと思う。

 記事作成:11月6日(水)

 


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