「球春」という言葉があるが、文字通り春を告げるセンバツ高校野球が甲子園で始まり、つい先日、史上初の大阪同士の決勝戦となり、「大阪桐蔭」が優勝を飾った。今年はWBCがあるため、久し振りに野球が注目される年回りを迎えた。
「優勝旗を東北へ」の長年の悲願は未だに叶っていない。過去に三沢商業、磐城、仙台育英、東北、花巻東、光星学院(2回)が、あと一歩のところまで行ったが、未だに白河の関を越えることはない。今年こそはの願いを毎年のように繰り返している。
さて、私は高校野球でいろいろと疑問を持っているのだが、その一つとして、全国4,000校を超える頂点に立つ高校の優勝投手は、それはそれは凄い投手で、その後、プロ入りしてエースとして活躍して当然と思っていた。しかし、実情はそうでもない。今回は、甲子園の優勝投手に焦点を当てたい。
1 現在プロでエースとなった凄い投手を揃えても優勝できない東北のチーム
過去に、太田幸司を擁した三沢商業(青森)が決勝で敗れた。小さな大投手の田村の磐城、豪腕・大越投手の仙台育英も、ダルビッシュの東北、そして最近は岩手・花巻東の菊池、そして球界の宝である同じ花巻東の大谷でも優勝を成し遂げられなかった。中には現在、プロ野球の球団に所属し、エースとして活躍している面々だ。これだけの凄い投手をもってしても甲子園優勝は出来なかった。
これを前提として考えたいが、これらの投手に打ち勝って全国一を成し遂げたチームのエース、つまり優勝投手はもっと凄い選手になっているのだろうか?実はそうでもない。
2 甲子園優勝で全国一になった優勝投手なのに打者転向した選手
王貞治(早稲田実業) 高2の時に甲子園で優勝したが、プロ入り後打者転向
世界のホームラン王となった 通算868本
柴田勲(法政二) エースとして優勝 しかし巨人入団後は俊足を買われてスイッチヒッタ
ーとなり、V9時代には一番打者として活躍した。
愛甲猛(横浜) 決勝では無失点記録の1年生、早実の荒木と投げ合って勝った。しかし
ロッテ入団時は投手だったが、やがて打者転向した。
金村義明(近鉄) 報徳学園を優勝に導いたが、やはり投手としては開花せず。野手転
向
西田真二(PL学園)・・・逆転のPLの立役者 エース兼4番として活躍して優勝投手に
広島入団後は外野手として打撃で貢献した。
他にも帝京の吉岡雄二(巨人・近鉄など)、中京大中京の堂林(広島)らがいる。
ちなみに優勝していないが、元投手で野手に転向したプロ野球選手を挙げると
イチロー(愛工大名電)
3 甲子園優勝投手でプロ入り後も活躍した投手
桑田真澄(PL学園)・・・ご存知、高校野球史上最高の投手。23勝3敗という戦績。巨人
入り後もエースとして君臨した。怪我さえなければ200勝していた。
パイレーツでも活躍した。
野村弘(PL学園)・・・大洋に入団し左のエースとして活躍 101勝88敗
松坂大輔(横浜)・・・西武でエース、その後、レッドソックスなどメジャーへ移籍したが鳴
かず飛ばず WBCでは2大会連続でMVPに輝いたものの、晩年は
日本球界に復帰したが、給料泥棒状態
しかし高校時代はすごかった。甲子園春夏連覇の立役者にして、3年
の夏は死闘を演じた。準々決勝のPL戦は延長を投げ抜き、準決勝
の明徳義塾戦では6点差を逆転。決勝はノーヒットノーランの快挙。平
成の怪物の名をほしいままにした。
田中将大(駒大苫小牧)・・・厳密に言うと、2年次の駒大苫小牧優勝時はセンターだっ
た。しかし、実際に投手として投げても入るため、あえてここ
に掲載した。
藤浪晋太郎(大阪桐蔭)・・・阪神のエースとして活躍しているが好不調の波が激しい。H
28シーズン終了時点で40勝32敗 最速160km/h
4 優勝投手だが、プロではイマイチだった選手
松本正志(東洋大姫路)・・・阪急にドラフト1位入団 通算1勝3敗で引退
中西清起(高知商業)・・・阪神 63勝74敗
畠山準(池田高校)・・・南海に入団したが、6勝18敗で、その後野手に転向
水野雄仁(池田高校)・・・巨人に入団したが、39勝29敗
渡辺智男(伊野商業)・・・西武に入団したが、45勝40敗で引退
正田 樹(桐生一)・・・日本ハムに入団したが通算24勝37敗
西村健太朗(広陵)・・・巨人に入団し、リリーフエースとして活躍したがその後、イマイチ
辻内崇伸(大阪桐蔭)・・・巨人に入団したが、あまり一軍登板もないまま引退
斎藤佑樹(早稲田実業)・・・大学までの活躍は素晴らしいが、プロ入り後は6年間で14
勝20敗。ハンカチ王子として人気者になった過去の栄光で
今もプロを続けられているが、大卒で即戦力にならなけれ
ば、引退勧告されても不思議ではない。今年が正念場だ。
他にも優勝投手には済美の福井優也(広島)、沖縄尚学の東浜巨(ソフトバンク)、興南の島袋洋奨(ソフトバンク)、清峰の今村猛(広島)らがプロ入りした投手だが、まだ入団してキャリアが浅いので今後に期待したい。
記事作成:3月20日(月)~4月4日(火)