福島県の面積は北海道、岩手県に次いで日本で第3位。それゆえ様々な名勝旧跡が点在している。私が47年の長きに渡って住んでいる福島県において、人の手によって建造された歴史と伝統、そして由緒ある建造物が多数ある。今日は、我が福島県においてぜひ訪れてほしい名所をピックアップしたい。
1位 左下観音堂
会津美里の山の中にひっそり建つ、珍しい懸造りの観音堂。昨年、県の重要文化財に指定されるまでは、この建造物の存在を知らない人が多かったに違いない。しかし、崖にもたれかかるように聳え立つこのお堂は、下から見上げると壮観。まるで清水寺の舞台のような柱の列。お堂の上を一周すると、床面の板が軋み、微妙に揺れるため、下手なアトラクションよりよっぽど怖い。一度訪れてほしいが、標識もなく非常にわかりづらい場所にあるので下調べを入念に!
2位 飯盛山さざえ堂
白虎隊の悲劇の場所「飯盛山」の一角にひっそり建つ世にも不思議な建造物。入口からお堂に入り、頂上を目指して螺旋状の板張りの上りスロープ斜面を駆け上がるとてっぺんへ。しかし、下り坂では一切上り斜面とは交わらない。まるでメビウスのような造り。高さ16. 5m、六角三層のお堂で、 正式名称は「円通三匝堂(えんつうさんそうどう)」という。江戸時代後期にこのような設計を立てた昔人の知恵には脱帽だ。
3位 東堂山満福寺鐘楼
動画サイトで小野町の観光案内を見て、ひとめ惚れしたスポット。わが福島県にこんな場所があったのかと意外に思った。荘厳な雰囲気が漂い、歴史を感じさせるパワースポット。苔生した石段を上った先にあるのは、古にタイムスリップしたような鐘楼(鐘突き堂)。その配置が素晴らしい。それがあるのはそそり立つ石垣の上。何か映画のロケに使いたくなるような侘び寂を感じられる不思議な空間。訪れて損はない場所。そしてその先の山道に沿って、百羅漢像が所狭しと並ぶこの世のものとは思えない不可思議な場所へ迷い込む。
4位 大内宿
ここもタイムスリップして江戸時代に舞い降りたかのようなスポット。かつて奥州街道の宿場町として栄えた大内宿。宿場町の目抜き通りに所狭しと茅葺屋根の民宿が連なるその光景はどこか懐かしさと共に郷愁を感じる。秋の紅葉シーズンの訪問がベスト。ここの名物が箸代わりに曲がり長ネギ一本で食べる高遠そば。ぜひご賞味あれ。
5位 菅船神社境内
昨年から4回も訪れている私が大好きな神社。逢瀬町の河内(こうづ)にあり、静かな佇まい。私は4度訪れて誰とも会わなかった超穴場の神社だが、なかなかどうして。とても立派な造り。天皇陛下も植樹された由緒あるパワースポットだ。
6位 霞ヶ城箕輪門(二本松)
ここも私が大好きで毎年欠かさず訪れる場所。母方の祖父母が生前住んでいたため、幼少期から何度も訪れている馴染みの場所。菊人形や二本松提灯祭りなど見どころは多い。この箕輪門や山頂の石垣も再建され、綺麗に整備され、展望台からの360度の大パノラマは必見の価値あり。智恵子が言う「ほんとうの空」が広がる。安達太良山の眺望がすばらしい。
7位 鶴ヶ城
シックな黒瓦だったのが、築城当時と同じ赤瓦に葺き替えられた。ふくしまDCキャンペーンではイベント尽くしで大勢の観光客が押し寄せた。テレビドラマ「白虎隊」や大河ドラマ「八重の桜」の効果で、その後も有数の観光地として君臨している。日本で10本の指に入る名城だと思う。滝廉太郎の「荒城の月」のモデルと言われている。
8位 相馬松川浦大橋
東日本大震災のの際、橋脚のすぐ下まで大津波が押し寄せた。私のお気に入りの釣り場だった松川浦や沖堤防は損傷が激しく、いまだに渡船は再開されていない。大型のカレイの穴場だった。
9位 小峰城
格調高い三重櫓。江戸幕府は一国一城政策をとっていたため、天守閣を持つ城の建造を認めなかったため、白河藩は櫓という名称になった。しかし黒のシックな色調は格調高く、凛とした印象がある。しかし、2011年の東日本大震災で石垣が崩壊するなど大規模な損壊があり、再建までに4年がかかった。熊本地震で崩落した熊本城の修復のために関係者が小峰錠を視察に訪れた。
10位 喜多方のレンガ蔵群(三津谷)
喜多方と言えば「ラーメン」と「蔵の街」。通りには馬車が行き交い、時々古い蔵が登場する。特に市街地から北に数キロ進んだ「三津谷」地区は、レンガ調の蔵が多く立ち並ぶ、ちょっとした異次元空間を味わえる。
11位以下はスペースの都合上、2箇所ずつの紹介とさせていただきます。
11位 熱塩加納駅 12位 新宮熊野神社長床
廃線となった日中線の終着駅。今でも鉄道ファンの多くが訪れる。駅舎は当時のまま残され、建屋内に当時使われた国鉄の改札や信号、切符販売機などが展示されている。また、ラッセル車や客車が鎮座し、観光客を楽しませてくれる。
長床は喜多方市街地から西に5km離れた熊野神社境内にある。訪れた人を圧倒する吹き抜けの豪壮な拝殿。 国指定重要文化財の「長床」は、熊野神社の拝殿として平安末期に建立された寝殿造の建物。境内にある樹齢800年のご神木・大イチョウが四季折々に「長床」を彩る光景が見事だ。「 新宮」と称しているが、本宮・新宮・那智の熊野三山を祀っている。
13位 柳津虚空蔵尊 14位 本宮映画劇場
柳津虚空蔵尊は郡山の小学校で遠足で訪れる場所。正月過ぎの「七日堂裸まいり」は勇壮で、下帯姿の男衆が我先にと注連縄をよじ登る。ここの名物はあわ饅頭。
本宮映画劇場はTV取材殺到のレトロモダンなつくりの映画館。震災で外観の損傷が激しかったが、復旧。日本最古の映写機がある。
15位 医王寺 16位 天鏡閣
826年(天長3)年、空海作の薬師如来像を祀り、草堂を建てたことに始まると伝え、平安時代末、信夫荘司佐藤一族が菩提寺とした。佐藤基治は信仰心が厚く、居城とする大鳥城から眼下に望む薬師堂を改築し、伽藍を多数建立し境内を整えたとされている。
天鏡閣は、天皇の静養地とされ、レトロモダンな造り。猪苗代湖の翁島の南ヶ丘牧場の近くの高台にある。道路からは見えない山林の奥にある。お姫様のような衣裳を着て記念写真が撮れる。
17位 旧伊達郡役所 18位 只見線河川橋
伊達町には一度も足を踏み入れていないため、今年中には訪れたい。こんなレトロチックな建物が県北地方には多い。
只見線は未だに一部不通だが、この橋梁は全国の鉄道ファン必見の「神的」存在。特に紅葉シーズンと真冬の雪の中を疾走するSLは見ごたえ十分。
19位 鯖湖湯(飯坂温泉) 20位 白河の関
あの松尾芭蕉も訪れた飯坂町に建つ老舗の公共浴場。平成に入って建て替えられたが、内部の湯船は当時のまま。ここは源泉かけ流しだが、とても熱いので有名。
白河の関は奥羽街道の難所。しかし、実際の所在地は定かではない。様々な文献を元に学者が推測し、ここが白河神社のある場所が有力。厳かな雰囲気が漂う。資料館が隣接する。
21位 旧亀岡家住宅 伊達市 22位 湯野上温泉駅
旧亀岡家住宅は旧保原町の公園内に建つ。一瞬、「鹿鳴館」をほうふつさせるレトロな造り。一度も訪れたことが無いため、今年必ず見たいスポット。
全国的にも珍しく希少な茅葺屋根の駅舎。会津高原鉄道の湯野上温泉駅。東京浅草から東武が乗り入れている。隣りには無料で足湯が楽しめるスポットがある。大内宿への最至近駅。
23位 郡山合同庁舎 24位 郡山公会堂
県合同庁舎は細沼にある。私の子供時代の遊び場で、鼓笛隊パレードの出発点だった。古くなったため県は移転を考えているようだが、絶対に壊さないで欲しい。あの三島由紀夫が壮絶な最期を遂げた自衛隊市谷駐屯地に作りが似ているため、緒形拳主演の映画「MISHIMA」では、決起を呼びかける演説シーンの撮影に使われた。
郡山市役所が現在の朝日に移転するまでは、ここが市役所だった。
郡山市公会堂は1924年(大正13年)9月の郡山市の市制施行を記念し、その翌月10月に完成した。 オランダデン・ハーグの平和宮、および大阪市の大阪市中央公会堂がモデルと伝えられている。建設当時には塔屋に時計が埋め込まれていたが、次第に時刻が狂うようになり、第二次世界大戦中に市民からの苦情で取り外された。(時計の後には長年、市章が埋め込まれていた)平成10年頃、塔屋に再び時計が埋め込まれた。
2002年(平成14年)、国の登録有形文化財に登録された。
また、その南側に隣接していた中央公民館は、震災で損壊し、このほど再建された。
25位 星の村天文台 26位 隠津島神社三重塔
滝根町のあぶくま洞に隣接する天体観測所。県内最大級の口径65cmの反射望遠鏡があり、日中も太陽の観察もできる。プラネタリウム館(60座席)や研修施設が併設されている。大型の望遠鏡がある天文台にはらせん状のスロープを登るが、外観はバベルの塔をほうふつさせる造り。
隠津島神社三重塔は二本松にある。昭和30年福島県の重要文化財に指定されたこの三重塔は、室町時代の文明4年(1472年)に建立された。天正年間伊達政宗の兵火によって全山炎上した際、この三重塔だけが残った。 延宝2年(1674年)二本松藩主丹羽重公により修復されたが、明治35年の大暴風雨により第1層を残して倒壊した。これを大修理したものが現存している。 福島県内遺存の塔は少なく、会津高田町「法用寺」、いわき市「高蔵寺」と当社の三基のみとなっている。確かに福島県にはこうした塔が少ない。
霞ヶ城や二本松少年隊、高村智恵子にゆかりのあるスポットは訪れているが、ここに足を踏み入れたことは無い。ぜひ今年中には行ってみたい。
27位 高柴でこ屋敷 28位 安倍文殊堂
茅葺屋根の古民家が立ち並ぶ高柴の集落。そこで地元の名産品である三春駒、三春張子、伝統民芸品である三春人形、だるまなど様々な工芸品が作られている。その製作模様を間近で見て、購入することが出来る。
安倍文殊堂は平成28年5月に訪れたばかり。私は船引にも三春にも勤務した経歴があるにもかかわらず、訪れたことが無かった。学問成就のお堂で、杉林の小道を400mほど登山すると文殊堂が頂上部に現れる。パワースポットとしても森羅万象を感じとるにも絶好のマル秘スポット。
29位 白河ハリストス正教会 30位 郡山聖ペテロ聖パウロ教会
白河ハリストス正教会は、大正4年(1915)に建てられた正八角形のドームと白い壁が特徴のビザンチン様式の教会で、建物と教会内にあるイコン(聖像画)が福島県の重要文化財に指定されていることで有名です。
聖パウロ教会は、郡山市の中心に位置する高台、麓山の地にあり、周囲は麓山公園、21世紀記念公園、酒蓋公園に囲まれ、郡山市公会堂、公民館、図書館なども近くにある閑静な住宅地。郡山への宣教は明治36年、郡山駅前にあった郡山講義所がスタートで、それから100年以上経たった。現在の聖堂は昭和6年に新築され、築後76年を経たゴシック風の建物で郡山市内の建築物の中でも由緒ある建物の一つになっている。
今回は、たとえば「塔のへつり」とか「裏磐梯噴火口」、「滝桜」、「きのこ岩」などの自然の造形美などは除外した。
記事作成:6月2日(木)~