このタイトルで記事を書くのは2011年12月以来4年半年振りとなった。最近は抜群の歌唱力を持ったシンガーが少なくなったとやや落胆気味だった。しかし、私が1980年代頃から長く聴いてきた人を惹きつける魅力を備えた珠玉のヴォーカリストがいたことをすっかり忘れていた。今年、彼女はデビュー30周年を迎え、円熟した大人のハートフルボイスで、私たちの琴線に触れるような美しい歌の数々を世に放って来た。彼女の透き通るような高音は、耳障りが良く、誰が聴いても唸るような女神の歌声だ。ここで言う彼女とは「椎名恵」だ。
では論より証拠、このタイトルに相応しいシンガーであることをご自分の目と耳で確かめて欲しい。
1 今夜はANGEL
1986年1月1日発売- フジテレビ系ドラマ『ヤヌスの鏡』主題歌。
2 愛は眠らない
1986年5月21日発売、 フジテレビ系ドラマ『花嫁衣裳は誰が着る』主題歌。
3 風に抱かれて
1986年6月21日発売、 OVA『超時空ロマネスク SAMY MISSING・99』主題歌。
4 LOVE IS ALL~愛を聴かせて~
若い頃の歌声 https://www.youtube.com/watch?v=btRWyTCF2uw
1986年11月5日発売、TBS系ドラマ『おんな風林火山』主題歌。
原曲は、シャーリーンの「愛はかげろうのように -I've Never Been to Me-」。
5 悲しみは続かない
1986年12月5日発売、 フジテレビ系ドラマ『このこ誰の子?』主題歌。
原曲は、「Good Girls Go to Heaven(Bad Girls Go Everywhere)」(ジム・スタインマン作曲)。
彼女の楽曲は、歌唱力が秀逸していたため、CMやテレビドラマの主題歌等にも数多く採用された。彼女のパンチの利いた歌声は、1980年代に隆盛を極めた大映テレビの運命的なドラマの主題歌で多く起用された。
当時の「大映テレビ」ドラマはやりすぎ感が凄かった。運命に翻弄される少女、ハードな生い立ち、いかつい内容、臭いセリフ回し。深刻な生きざまなど。現実離れしていた。
ヤヌスの鏡、この子誰の子、アリエスの乙女たち、花嫁衣裳は誰が着る、乳姉妹、ポニーテールはふり向かなしい、不良少女と呼ばれて、少女に何が起こったか、スクールウォーズ、スチュワーデス物語、スワンの涙、プロゴルファー祈子など
大映テレビ主題歌集
これらの大映テレビのドラマに欠かせない存在だったのが、今は亡きナレーターの来宮良子さんだった。運命的かつ劇的な展開に拍車をかける名ナレーションだった。
さて、今日の記事は、その美声で1980年代の名ドラマを盛り上げた椎名恵にスポットを浴びた。この時代は、バブルだったが、このような少女のおいたちに纏わる運命に翻弄される若者の葛藤や闘いを描いたものが多く、それを主題歌を彼女が歌ったことで、より一層高尚なものになった。1980年代はアイドルブームだったが、その一方で本物志向のシンガーも多く登場した。最近はめっきり歌唱力抜群のシンガーが少なくなったことを嘆くばかりだが、彼女を含め現役で今も歌い続けている方々がいることに敬意を表したい。
記事作成:5月28日(土)